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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第二十三話 要塞を建設します。
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ほんのかすかな違和感ではあったが。

「ま、要塞が建設できればイゼルローン回廊に帝国同盟双方の要塞が並ぶことになるわけですか、さぞ壮観な眺めでしょうよ」
「気に入らないか?」
「別に気に入らないわけではありませんが、どこかの誰かが要塞を橋頭堡にしてイゼルローン要塞に攻め入るなんておかしなことを考えつかなきゃいいなと思っただけです。ぞっとしますからね。あるいは――」
「要塞をイゼルローン要塞にぶつけて破壊してしまう、ですか?ヤン中佐」

 自分の言わんとしていることを先取りされたヤンは、ひそかに舌を巻きながら、

「ええまあ。それと、私のことは呼び捨てで結構です。あなたの方が上なのですから」
「いいえ、エル・ファシルの英雄を呼び捨てなどできませんわ」

 シャロンが微笑した。ヤンはその話題についてはなるたけ触れられたくはないのだが、相手が上官のため、嫌とも言えず頭を掻いて黙っている。それにしても、要塞をぶつけるという発想を簡単に出してくるこの女性はタダ物ではないとヤンは思った。

「ですが、まぁ、無理でしょう。そんなことをするのであれば、わざわざ要塞を建設するのではなく、どこかの衛星をぶつけるなり、ドライアイスをぶつけるなりで済むわけですからね。問題は敵が黙ってそれを見ていてくれるか、ですが」
「この前の並行追撃すら見抜けなかった要塞守備隊の方たちですもの、そんなことに気づくとは思えませんわ。ですが、そうなればなったで、また無用な出兵論が持ち上がりますから、私は敢えて言いませんでしたけれど」
「ま、平和が一番というわけですからね」
「お前さんの場合は、昼寝の時間と読書の時間、そして食うに困らないだけの年金が入ればそれで十分なんだろう?」
「失礼ですね〜。先輩も。私がそんな人間に見えますか?」
「見える」
「プッ・・・・あはははははは!!」

 二人は驚いた。シャロンがおかしそうに楽しそうに笑いだしたからだ。

「ごめんなさい。でも、改めてお二人の掛け合いを見るととてもおかしくて・・・・あはははは!!」

 純真な少女の様に朗らかに笑っているシャロンを他の転生者たちが見ればきっと意外そうに思うかもしれない。「この人本当にシャロン!?」と。

「でも、本当にうらやましいですわ。私には・・・今までそうやって何でも話し合える人、いなかったですから・・・・」

 一転して寂しそうな彼女にキャゼルヌもヤンも同声をかけていいかわからないようだった。それでも、

「なに、今からでも遅くはないさ。俺もヤンもあまり上等の人間じゃないが、お前さんの気持ちを少しくらい汲んでやれる人間でありたいと思っているからな。なぁ、ヤン」
「え、ええ。そうですね」
「お、赤くなったか。お前さんもやっぱり美人には弱いというわけだな」
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