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第二十三話 要塞を建設します。
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いたこともあり、彼を手放すことをしなかったのである。
これは、キャゼルヌ、シャロンサイドの強い推薦もあったからなのだが。
そのヤンは自宅に寝ていたところをキャゼルヌにTV電話で叩き起こされ、渋々統合作戦本部に出頭することとなった。
「よぉヤン。やってきたな」
キャゼルヌが気さくにいい、椅子を示して座るように言った。
「別にきたくてやってきたんじゃありませんからね」
「久しぶりの挨拶がそれか。相変わらずお前さんらしい言い草だな」
ヤンは返事の代わりに肩をすくめた。
「まぁすわれ。どうだ?最近の調子は。中佐に出世していくらか軍人としての立ち居振る舞いは身についたか」
「相変わらずですよ。先輩の方こそ、私をわざわざ呼ぶなんて、どういう風の吹き回しですか?」
「俺じゃない。統合作戦本部長閣下直々のご推薦だ。後はお前の上司のシドニー・シトレ大将閣下のな。おふたりとも、ヤン、お前を良くかってくれていらっしゃるぞ」
「文字通り買いかぶりすぎです。ラップがいるでしょう。どうして彼を呼ばなかったんですか?」
「ラップの奴は今病気療養中だ。お前さんにはあまり聞かせたくはなかったが、これからは文字通り身を粉にして働かなくちゃならん環境に置かれるからな、そんなところに病人をおけんだろ」
「はぁ〜〜・・・・」
ヤンは深い吐息を吐いた。
「そうむくれるな。お前さんがデスクワークが苦手なことは承知している。だが、先にも言った通り、今回のことは本部長閣下ご自身の意向でな」
「あなたの協力なしではやっていけないと本部長閣下は思われているわ」
隣のソファに既に腰かけていた美貌の女性に気づいたヤンがどなたですかと言いたそうな顔をする。
「シャロン・イーリス大佐だ」
あぁ、あなたが、とヤンは声を上げた。第五次イゼルローン要塞攻防戦前に、ブラッドレー大将に要塞建設の手法について事細かに提案してきた人物であると知っている。
「今回俺とお前さんと一緒に『改革』に着手する特務スタッフの一人だ。お前さんと入れ違いにシドニー・シトレ中将の副官だった方だ。優秀だぞ。今回の要塞建設についても彼女が提案したんだからな」
階級は同じ大佐だが、キャゼルヌの方が先任である。その点はシャロンも承知していることと見えて、微笑むだけで何も言わなかった。
「それはすごい」
「私の提案など独創性のかけらもありませんわよ。ブルース・アッシュビー元帥の提案をそっくりそのままもらっただけですもの。むしろ私の提案を受け入れてくださったブラッドレー大将閣下こそ、優れた方ですわ」
ヤンはシャロンの顔を見たが、どこかおかしな違和感を覚えていた。いうなれば少し得体のしれない人と話しているような感覚に陥っていた。もっともそれは
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