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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十九話 イゼルローン要塞陥落後
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。現在オーディンに向けて帰還中であります」
微かに副司令長官は頷いたようだ。少し考え込んでいる。
「……反乱軍はどの程度の軍を動員したのです?」
「はっ。正規艦隊は三個艦隊、それと半個艦隊が動員されたようです」
「半個艦隊……」
副司令長官は呟くとまた考え込んでいる。僅かに顔を俯け、視線を伏せ気味にして考え込んでいる。もういいんだろうか、そろそろ解放して欲しいんだが。
だが俺の願いは大神オーディンに聞き届けられる事は無かった。副司令長官が顔を上げ話しかけてくる。
「要塞の損傷状態はどうでした? 酷く損傷していましたか?」
そういえば要塞は殆ど無傷だったような気がするな。
「いえ、はっきりとは覚えておりませんが、無傷だったような気がします」
馬鹿を言うなと怒られるかと思ったが、副司令長官はまた考え込み始めた。
「戦闘詳報はどうなっています?」
戦闘詳報? それって……、多分……書いていると思うが……。
「分りませんか?」
「も、申し訳ありません。確認しておりませんでした」
補給基地だ、俺の運命は決まった。こんな肝心な事を聞き忘れるなんて。
「准将はこれからどうします?」
「?」
これから? これからどうします? どうすればいいんだ?
「ああ、質問が不正確でしたね、ミッターマイヤー提督から指示を受けていますか?」
「いえ、特に受けておりません」
そういうことか。よくわからなかった。焦らせないでくれ。
「ではお手数ですが、もう一度戻り、遠征軍司令部に至急戦闘詳報を作成しオーディンへ送るように伝えてください」
「はっ」
ヴァレンシュタイン副司令官は穏やかな微笑を浮かべた。やばい、何が来る?
「バイエルライン准将、ご苦労様でした。敗北は残念ですが司令長官が御無事なのは幸いです。メルカッツ提督、ロイエンタール提督、ミッターマイヤー提督に感謝していると伝えてください」
お互いに敬礼を交わした後、スクリーンから副司令長官の姿が消えた。疲れた、思わず椅子に座って溜息を吐く。補給基地は免れた、多分。あの人は苦手だ。俺より年下なのに妙に迫力がある。まずは水でも飲んで、タンクベッドで睡眠でも取るか……。
「やっぱり可愛いよな」
呟くような声が聞こえた。何処の馬鹿だ。可愛い? 俺は周囲をにらみつけた。何人かがスクリーンを見詰めている。
「何をたるんでいる。仕事をしろ!」
だから俺はあの人が苦手なんだ。
■ 帝国暦487年4月28日 オーディン 宇宙艦隊司令部 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
イゼルローン要塞が落ちた……。アスターテ会戦が起きずイゼルローン要塞攻略戦が発生した。分らないでもない、これまでの同盟の被った被害を考えればこれ以上は耐えられ
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