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青砥縞花紅彩画
12部分:神輿ヶ嶽の場その二
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「それでは引き揚げるか」
日本「待たれよ」
 右手から日本駄右衛門が現れる。きゃはんに草鞋、旅の出で立ちに鼠衣、頭巾、腰には如意という出で立ち。
弁天「誰じゃ」
日本「はい、こちらへ来て下され」
弁天「見たところ旅の修験者の様でござるが何用ですかな」
日本「実はこの山に入って寝る場所を探しておったのですが」
弁天「はあ」
日本「この辻堂はどうでしょうか」
弁天「そこは拙者が仮すまいですが」
日本「おお、そうでしたか。では仕方ありませんな」(ここで去ろうとする)
弁天「(それを引き留めて)あいや、待たれよ」
日本「(向き直る)はい」
弁天「泊まって行かれよ。この山は何かと物騒ですからな」
日本「よろしいのですか?」
弁天「はい、どうぞどうぞ。(ここで独白)寝ている間にこっそり金でもすってやろうぞ」
日本「それでは。ところで」
弁天「はい」
日本「ここにはどうしておられるのですかな」
弁天「まあ色々と事情がござって」
日本「左様ですか。見たところ卑しからぬ相のようですが」
弁天「(笑いながら)人の顔なぞあてにはなりませぬぞ」
日本「左様でござろうか。あいや」
弁天「どうなされた」
日本「どうやらそこもとはかなり身分のある御方のようでござる」
弁天「(笑いながら)またその様な戯れ言を」
日本「いえ、そこもとが持たれているものが何よりの証拠でござる」
弁天「拙者が?何を?(とぼけるがここで駄右衛門をあやしむ目で見る)」
弁天「(独白)こやつ、まさか」
 疑う目になる。

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