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青砥縞花紅彩画
1部分:新清水の場その一
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だその御心は悲しみに満ち満ちておられる御様子です」
典蔵「そうか」
主膳「やはり小太郎様が亡くなられたのが相当な傷となっておられるようでございます」
典蔵「そしてあれを常に持たれておるのだな」
主膳「はい」
典蔵「胡蝶の香合、信田家から結納として贈られた宝を」
主膳「そのお手に大切そうに持っておられます」
典蔵「やはりな。今やあれだけが姫様と小太郎様の結び付きの証だからのう。致し方あるまい」
主膳「姫様の御心、察するにあまりますな」
典蔵「じゃが何時までも悲しんでおられるとかえってよくない。どうしたものかのう」(首を捻りながら言う)
女一「それでしたらお花なぞは如何でしょう」
典蔵「花、とな」
女二「はい、ここは花の名所でありますから。桜を見れば姫様の御心も楽しまれることでしょう」
典蔵「ううむ」
主膳「それもいいかも知れませんな」(女達の声に頷き)
典蔵「お主もそう考えるか」
主膳「はい、ここの桜は吉野のそれに勝るとも劣らぬものです。きっと姫様の御心も安んじてくれることでしょう」
典蔵「皆はどう思うか」(後ろを振り向き他の者にも問う)
一同「我々も主膳様と同じ考えです」
典蔵「では姫様にはその様にお勧めするか」
主膳「それが宜しいかと存じます」
典蔵「わかった。では私から申し上げてみよう。実はある噂話を耳に挟んでおるしな」
主膳「それは」
典蔵「後で話す。よいな」
主膳「わかりました」
 ここで籠がやって来る。そこから声がする。その中にいるのが千寿姫である。

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