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Three Roses
第一話 運命の薔薇その八

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 そしてだ、その話の後でだった。王は大公と二人だけでだ。王宮の奥深くの部屋で真剣な面持ちで卓を囲んで話した。
 そこでだ、王はまずはこう大公に言った。
「ここでは堅苦しいことは抜きだ」
「二人でありますから」
「主君と家臣ではなくだ」
「兄弟として」
「話したいが」
「わかりました、では兄上」
 大公は兄王の言葉に応えてだ、微笑みになったうえで。
 表情を穏やかなものに変えてだ、王をこう呼んだ。
「今は」
「うむ、兄と弟としてな」
「お話をしますか」
「そうしよう、してだ」
 あらためてだ、王は大公に問うた。
「先程の婚姻の話も含まれるが」
「王位のことですね」
「太子はいる」
 王の子が、というのだ。
「余の唯一の男子がな」
「はい、お世継ぎ様は」
「しかしだ」
「何事もですね」
「何があるかわからない」
 世の中は、というのだ。
「まして太子は身体が弱い」
「万が一とおいうことがですね」
「ある」
「だからこそ」
「太子の次の継承順位を決めておきたいのだ」
「では」
「余に男子は太子だけでだ」
 そして、というのだ。
「弟はそなただけだ」
「では」
「第二はそなたとしたい」
 王位のというのだ。
「いいか」
「はい、しかしです」
「そなたはか」
「王になるにはです」
「反発があるか」
「私は一旦王位継承権を放棄しています」
「そして臣下となっている」
 大公としてだ、王を補佐する位置にいるのだ。
「それ故にだな」
「もう一度王位の話になりますと」
「反発がある」
「そう思いますので」
「そこが難しいか」
「はい、しかしですね」
「弟はそなたしかいないのだ」
 このことをだ、王は言うのだった。
「余には妹は多いが」
「はい、兄弟となりますと」
「そなただけだからだ」
「では」
「そなたを第二にしたい」
「反発があろうとも」
「それならそれでやり方もあろう」
 大公が再び王位継承を持つことへの反発、主に大公の政策と利害が衝突する諸侯のそれがあろうともというのだ。
「それでな」
「では」
「第三、第四のだ」
「継承権もですね」
「決めよう」
「では」
「少なくとも第五まではな」
 その番までというのだ。
「ここで決めたい」
「わかりました、では」
「第三はだ」
 太子、大公、その次はというと。
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