暁 〜小説投稿サイト〜
Three Roses
第一話 運命の薔薇その七
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「何といっても」
「はい、ロートリンゲン家は大陸第一の権勢を誇っています」
「領地、兵数、富喜とな」
「どの家も遥かに凌駕しています」
「アントワープ家ともな」
「アントワープ家です」
 大公の目がまた光った。
「我々の最大の敵は」
「あの家は何百年も前から我が国を狙っている」
「領地や産業を巡って争ってきました」
「我等が勝ったこともあれば敗れたこともある」
「まさに仇敵です」
「エヴァンズ家にとってな」
「しかしです」
 ここで大公は王に言った。
「アントワープ家の仇敵は当家だけではありません」
「ロートリンゲン家もだな」
「はい」
 こう言うのだった。
「アントワープ家はロートリンゲン家とも数百年来の仇敵関係にあります」
「彼等の敵は一つではない」
「つまり我等は同じ敵を持っているのです」
「敵の敵は味方」
「ですから」70
 それ故にというのだ。
「あの家とです」
「結ぶべきか」
「アントワープ家が周辺諸国、そして国内の諸侯を煽っています」
「常にな」
「そして我が国を脅かしていますので」
「我々としてはだな」
「はい、あの家を抑える為に」
 是非にというのだ。
「婚姻を進めましょう、ただ」
「そのロートリンゲン家もだな」
「あの家も用心しなければなりません」 
 縁戚を結ぶこの家もというのだ。
「何しろ縁戚を結んだ相手の家はです」
「よくあるな」
「位の継承者立ちが次々に急死しています」
「そしてあの家から入った者の子達だけが残りな」
「あの家に入っています」
「不思議なことだ」
 いささかシニカルにだ、王は玉座から言った。
「それが幸運と思うか」
「表向きは」 
 これが大公の返事だった。
「そうなっています」
「そうだな」
「あくまで、です」
「表向きはだな」
「証拠はありません、ですから」
「不幸にもな」
「どなたもです」
 大公はいささかシニカルな声で言った。
「そうなったのです」
「ものは言い様だな」
「全くです」
「こうした話はどの国にもあるが」
 王も玉座で苦い顔になっている、そのうえでの言葉だ。
「しかしな」
「ロートリンゲン家については」
「特別に多いな」
「そうです、ですから」
「縁戚は結ぶべきでもだな」
「あくまで、です」
「王位継承にまで及ばない様に」
 王はまた言った。
「留意すべきだな」
「そう考えます」
「わかった」
 王は大公のその言葉にも頷いた、そしてだった。
 大公にだ、強い声で言った。
「その件よしとする」
「では」
「しかしこちらの相手はだ」
「どの方にすべきかは」
「これからですね」
「考えよう」
「わかりました、そして」
 大公はさらに言った、二人
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ