第7話 初めての真名
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
何か、ねぇ?
司馬懿さんと並んで歩いていると、司馬懿さんが俺の左手を握って来た。
「ダメ……?」
頬を染めての上目遣い、そして若干の潤んだ瞳。
パーフェクトだぜ!
そして、断れるわけねぇだろ!!
「いや、いいよ」
そう答えると、司馬懿さんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
だが、俺の左手を握る手は強くなった。
昨日、夕食を食べた部屋に入ると、司馬防さんと母が話しているようだった。
「ふむ。では、そういうことで」
「ええ。こちらとしても嬉しい限りです」
「あら、おはようございます」
俺たちに気付いた司馬防さんが、笑顔で挨拶をしてくる。
俺から絞りとったお陰か、司馬防さんの肌が艶々しているような気が……。
「あら?……ふふっ」
司馬防さんは司馬懿さんの手とつないでいることに気付き、小さく笑った。
微笑ましいものを見るような目だ。
…まあ、捕食の目よりはマシか。
それでも、気分のいいものではないけどな。
「おはようございます、母上」
「ああ、おはよう」
俺は母の隣に腰を降ろすと、朝の挨拶を交わす。
同様に、司馬懿さんも挨拶をしていた。
「縁。朝食を食べたら、すぐに出発しよう。そろそろ伯縁が泣く頃だ」
泣くって……。子どもじゃないないんだから。
でも、あの父なら有り得るな。
朝食も終わり、出発に備えて司馬防さんから食料などを分けてもらった。
「縁、準備は出来たか?」
「はい」
準備も終え俺たちは玄関に立つ。
「お気を付けてお帰り下さい」
「世話になった」
「いえいえ、こちらこそ」
母と司馬防さんが別れの挨拶を交わし、俺も司馬懿さんと挨拶をする。
「徐晃……」
「元気でね」
瞳を潤ませ、俺を見上げる司馬懿さん。
くっ!最後の最後まで可愛いぞ!
「……徐晃。私の真名、預ける。私、皐月」
「ありがとう。俺は縁」
俺の手が、自然と司馬懿さんの頭へと伸びる。
結婚して子どもがいたら、こんな感じなのだろうか……。
前世では味わうことは無かった、父性だ。
司馬懿さんから手を離し、次は司馬防さんと向かい合う。
「司馬防さんも、お元気で」
「ええ、徐晃殿も」
「司馬防さんにも、私の真名を預けます」
「あら、私もよろしいのですか」
「はい」
「そうですか?ですが、妥当かもしれませんね。身体も重ねた、深い関係ですしね」
司馬防さんは俺の耳に口を寄せると、そう囁いた。
確かにそうなんですけど、母の居る前では勘弁してください。
「ふふっ。私は葉月と申します」
「私は縁です」
2人と真名を交換し、俺たちは街を出る。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ