誰も死なせねぇ
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魔導士にとっては死に至る病だ」
なんとか吸い込まないようにしていたものの、魔障粒子は肌からも感染していく。そのため、その中心に近い雷神衆とヤジマは、苦しみ悶え、膝をついていた。
「後はこのまま君たちを放置していれば、自然に死んでいくだろう。それで俺の任務は遂行、術式に引っ掛かる必要もなくなるわけだ」
ノーランはフリードたちに背を向け、近くの建物に飛び移る。
「苦しみながら死んでいくといい。妖精の尻尾よ」
それだけ言い残し、その場を後にするノーラン。残された魔導士たちは、皆顔色がどんどん青くなっていく。
「みんな!!霧を吸い込むな!!」
「このままじゃ・・・みんな・・・」
「町中が汚染される・・・」
しゃべることすら苦しくなっている雷神衆。
「みんな、とにかく逃げるんじゃ。霧のないところへ・・・うっ・・・」
全員にこの場を離れるように指示を出したヤジマ。しかし、彼もすでに限界を迎えており、その場に意識を失い、倒れてしまった。
「ヤジマさん!!あ・・・」
「かはっ・・・」
彼に駆け寄ろうとしたエバーグリーン。さらにはビッグスローもついに力尽き、意識を失う。
「しっかりしろ!!エバ!!ビッグスロー!!」
唯一意識を保っているのはフリードのみ。しかし、彼もこのままではいつ倒れるかわかったものじゃない。そんな時、後ろでガサガサと、何かが動く音がする。
「ラクサス・・・」
フリードが振り返った先にいるのは、ノーランに破れ、気を失っていたラクサスだった。
「情けねぇ・・・俺は・・・」
「ラクサス!!今は自分を攻めてる場合では・・・!!」
悔しさに顔を歪ませている金髪の男。長髪の男の目に写るその男は、信じられない行動にうって出た。
「俺は・・・誰も死なせねぇ・・・」
口を塞ぐことなどしようともせず、あろうことか黒い霧をみるみる吸い込んでいくラクサス。街中に広がろうとしていたそれは、彼の元へと吸い寄せられていく。
「滅竜魔導士の肺は少し特殊なんだ。こんなもん全部吸い込んでやる」
「よせ・・・やめろ・・・」
ラクサスの口に消えていく魔障粒子。しかし、それを吸い続けている男の顔は、欠陥が浮き出始め、いつ息絶えてもおかしくないほどだった。
「必ず全員連れて帰れ。それがお前の仕事だ」
フリードは伏しているエバーグリーン、ヤジマ、ビッグスローを見て、彼の言葉通りに全員を運ぼうとする。だが・・・魔障粒子を大量に吸引した雷の男も、限界を迎え・・・その場に沈んでいった。
「ラクサース!!」
シリルside
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