誰も死なせねぇ
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!!」
男の口から雷撃が放たれる。しかし、それを見てもノーランは焦る様子もない。冷静に地面に転がっている残骸を拾い上げると、それを自身とは別の方向に投げ捨てる。
ギャッ
「!!」
すると、ラクサスのブレスがノーランの投げ捨てた物へと軌道修正し、直撃する。聖十の魔導士と互角に渡り合った雷を受けたそれは、真っ黒焦げになり砕け落ちた。
「避雷針か」
忌々しそうにノーランを見つめ、呟く雷の竜。ノーランは七年前、ガジルが自らに攻撃を軌道修正する際に用いた原理と同様のことを行い、彼の雷を外させたのであった。
「ジュラを倒すだけあって、さすがにパワーは目を見張るものがあるな。だが、本気になった俺には、そんなもの意味がない」
口角を上げて、敵を見下す冥府の使者。彼はラクサスを指さし、その腕を振るう。ラクサスはそれに何かを感じたのか、咄嗟に腕で身を守るようにガードする。
ジャキッ
「ッ!!」
体はなんとかガードできた。しかし、彼の腕には痛々しい傷と、ダラダラと流れる鮮血が見受けられる。
「鎌鼬みたいなもんか」
服を破り、傷跡を縛りながらノーランの先程の攻撃について考察するラクサス。止血し終えた彼は、巨大な戟を作り上げ、腕を振り下ろしそれを投じる。
「だから意味ないって」
ノーランはそう言うと、残骸を拾いすぐさま遠くに投げる。そして雷の戟はその方角へと進む方向を変えていく。
「学習能力がないn―――」
敵の攻撃が自分から遠ざかったことで安堵していると、すぐ目の前に巨大な人が迫ってきていた。彼は下がり気味だった視線を上げると、そこには足を振り上げている強敵が存在していた。
「オラァ!!」
「ぐふっ!!」
ノーランが気付いた直後に顔面に雷を纏った蹴りを入れられる。ラクサスの狙いは初めからこれだった。長距離攻撃は避雷針によって軌道を変えられてしまう。だったら、それを逆に利用してやればいい。相手がその攻撃を外させようとしている間に、距離を詰めて接近戦に持ち込む。接近戦なら、自分の方に分があると考えた。だが・・・
「なんてね」
蹴られたノーランは舌を出しながらサラサラの砂になって崩れていく。そこまで来てラクサスは、嵌められていたのは自分だったのだと気付かされた。しかし、時すでに遅し。
「大火の業」
背中を向けていた方に体を正体させるラクサス。その視線の先には本物のノーランが確かに立っている。しかし、その姿はすぐに見えなくなってしまった。なぜなら、彼の腕から放たれた炎が、自身を完全に飲み込んでしまったのだから。
「「「「ラクサス(くん)!!」」」」
白目を向いて崩れ落ちていくラクサス。ドサッと音を立てて地に伏せた男を見て、戦っていた青年は満
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