第37話 盗撮
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見せ付けた。
ビクッと身体を強ばらせて、視線をズラした。
「それは、あまり見せない方が良いんじゃねーの......」
「サソリさんだったら構いませんわ」
顔を赤くして、頬に手を当てている。
「あ、そうか」
水着か......そういえば
「泡浮、湾内に渡したか?」
サソリがさっき渡した紙袋の事を訊いた。
「いえ、着替えが終わりましたら渡そうかと思っていましたわ。では、サソリさんが居ますからサソリさんにお願いしますわ」
と泡浮が自分のバッグの中から紙袋を取り出して、サソリに渡した。
「えっ!?......オレがやるのかよ」
渡された紙袋を不機嫌そうに受け取る。
「何ですの?サソリさん?」
湾内が期待に満ちた表情でサソリの顔と見覚えのある紙袋を交互に見た。
「えっと......前にお前が買った奴だろ。落ちていたから」
土埃がついた紙袋を湾内に渡すと、不思議そうな顔をして中身を開けて、上から覗き込んだ。
不良に襲われた時に落としてしまったセパレートタイプの水着がそのままの状態で入っていた。
「あ......」
諦めていた水着をサソリが持って来てくれたことに湾内は、身体をブルブルと震わせた。
「?!」
湾内の不可解な挙動にサソリは、少しずつ距離を取って行こうとするが
「サソリさぁぁぁぁん!!ありがとうございますわ!大好きですわ」
両腕を一杯に広げて、サソリの首根っこに抱きつくと猫のようにサソリの首元に甘えるようにスリスリと自分の頬を滑らせた。
「だああー、お前、離れろ!」
「嫌ですわ!最近ちっとも会いに来てくれませんので、わたくしとても寂しかったですわ」
凄まじい力でサソリを締め上げてくる湾内に、サソリはバランスを崩して尻餅をついてしまう。
湾内はそれでもお構いなしだ。
「あれが湾内さんの大切な殿方ですの!」
「あんなに積極的な湾内さんを初めてみましたわ」
水泳部のメンバーがサソリと湾内のアツアツぶりに直視出来ずにそれぞれの方向を見ている。
水泳部の顧問が戸惑いながらも、教師としてのあるべき行為を遵守するように二人に近づいた。
「何をしているのです。若い男女が神聖な学び舎でなんと不埒な!早く離れなさい」
とサソリの頭を叩く。
「オレに言うな!コイツに言えよ」
サソリの胸元に抱きついている湾内の頭を指差した。
「我が校の生徒を誑かしている君に責任がある!」
「知るか、早く離れろよ!」
腕を使って、湾内を引き剥がそうとするが湾内の力は弱まる所か更に強く抱きしめてくる。
「サソリさん!サソリさん!」
確かめて楽しむように呟きながらサソリの身体に密着してくる。
明らか場違い感が拭い去れない警備員は、ダウンしている盗撮容疑者の確保に移ることにした。
「あのー、
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