第七話 赤い疾風、緑の剛剣、唸る魔砲
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の中から取り出した魔石をライドに向かって放り投げる。
その魔石を受け取りながら、一瞬どうすればいいのか悩んだライドだったが、
「そいつは貸しだ!! 急げ!! 早くしないとミリーが──」
「いけぇ!!」
ターバンの男の言葉に即座に反応し、照準もそこそこに魔石を込めた魔道具を緑髪の男に向かって起動した。
すると、轟音を上げた筒状の魔道具の先から真っ赤な球体が射出され──
音に反応して真横に飛び退った緑髪の男と、解放された事で反対方向に跳んだミリーの丁度真ん中で。
端的に言葉で表すならば、大家さんの家。それもその一人娘であるミリーの部屋の壁に魔力の弾が突っ込んだ。
直後に起こる大爆発。
真っ赤な火の粉が辺り一面に爆散し、粉々になった板や、ベッドから飛び出したと思われる羽毛が庭先にヒラヒラと漂い落ちる。
幸いにも火事にはなっていないようだが、ネリイの部屋の半分は綺麗に吹き飛び、ライドの居る位置からネリイの部屋とリビングを繋ぐ扉がはっきり見えた。
「…………よし。色々と誤算はあったが直近の危機は回避できたからよしとしよう。未熟者。もう一発だ」
「………………」
突然の横槍で動くに動けなくなった緑髪の男と離れて息を整えたらしいミリーの様子を見て一息付いたターバンの男の言葉だったが、言葉を向けられた筈のライドの表情は固まったまま動かない。
他人の家を破壊してしまった事にショックを受けてしまっているのかと思ったが、どうもその視線は先ほど使った魔道具──魔砲とでも言うべき物体に注がれたままだった。
「おい。何を黙って──」
「……」
流石に不審に思ってライドに近寄ったターバンの男に対して、ライドはようやく動き出すと魔道具の端に取り付けられた蓋を開けると中身をターバンの男に見せて一言。
「魔石がなぁい」
「何故だぁぁぁぁぁ!?」
ターバンの男には視線を向けようともせずに言い放ったライドに対して、ターバンの男は強引に自分の方を向かせるように両手でライドの肩を掴むとガクガクと揺らす。
「何故魔石が無くなっている!? 俺は貸しだと言ったはずだぞ!? 貸しだ!! 貸・し!! 提供したのでは無い!!」
「そ、そうは言ってもこの魔道具は使用した魔石の全魔力を砲弾として打ち出すタイプの魔道具だから。確かに一発限りだけどその威力は超ド級。名づけて──」
「欠・陥・品!! というのだそれはぁぁぁぁぁぁ!!」
「いいえ。欠陥品ではありません」
今にも噛み付かんばかりの勢いでライドを揺すっていたターバンの男だったが、背後から聞こえた声に動きを止めた。
そこにいたのは一人の少女だった。
白いレザーアーマーを身に付け、長い銀髪は後ろで
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