第七話 赤い疾風、緑の剛剣、唸る魔砲
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ライドは外へと飛び出す。
──魔道具を動かす上で最低限必要な物がある事をすっかり失念したまま。
「待たせたな!!」
ライドがターバンの男の傍に戻った頃には既に戦況は当初と逆転しており、ミリーが防戦一方で緑髪の男の攻撃を辛うじて捌いている所だった。
ミリーのスピードがあれば一旦距離を取って息を整える事くらいは出来そうだったが、魔道剣の能力がそれを許さなかったらしい。
ミリーは表情こそ微笑んでいたが、その額には汗が浮き、足りない酸素を補給するように何度も大きく口を開いている状況だった。
「遅いぞ! 一体何をやっていたのだ!?」
「五月蝿いな! 今すっごいの見せるからびっくりしておしっこ漏らすなよ!?」
「誰が漏らすか!! いいから早くしろ未熟者!!」
「そっちこそその腐った目でよーく見ておくんだね! 腐れ目野郎!!」
ライドは叫びながらも右手でグリップを握り、左手で筒を抑えて緑髪の男に魔道具を向ける。
戦場はいつの間にかネリイの家のそばに移動しており、狙い次第ではネリイの家に多大な損害を与えそうではあったが、緑髪の男に当てさえすれば関係ない。
「見てろよ」
「早くしろ」
しかし、一向に何かが起こる気配のない魔道具に、ライドとターバンの男の間に言葉が次第に無くなっていく。
そこへ来てようやくライドは事の次第に気がついたのか、一筋汗を垂らしながらゆっくりとグリップ上部に取り付けていた蓋を開け、中身を見て思わず叫んだ。
「魔石がなぁい!!」
「アホなのか貴様は!?」
魔道具を使用するのに魔石の有無を確認すらしていなかったライドに対して、自他共に呆れた声を上げた二人だったが、
「きゃあ!!」
いよいよ捌ききれなくなったのか、鍔迫り合いの状態でネリイの家の壁に押し付けられたミリーの悲鳴で二人の首が同時に動く。
ミリーの持ち味は小さな体格を生かしたスピードだ。
それがあの状態では緑髪の男の次の行動に対応することは出来ないだろう。
その証拠に緑髪の男は右手一本で魔道剣を持ってミリーを押さえつけ、左手を腰に戻していた短剣に伸ばしている所だった。
「何の魔石だ!!」
「は!?」
顔の向きは変えずに腰から下ろした袋に手を突っ込んで叫ぶターバンの男に、ライドは素っ頓狂な声を上げる。
しかし、そんなライドの態度に痺れを切らしたのか、ターバンの男はライドの持つ魔道具を指さしながら更に叫ぶ。
「そいつに必要な魔石だ!! 何があればそいつは動く!?」
「いや、これは汎用性が高いから何でも。でも、この状況だったら攻撃性のあるやつが──」
「こいつを使え!!」
ターバンの男はライドの言葉を遮りながら袋
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