第七話 赤い疾風、緑の剛剣、唸る魔砲
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ず、当たり所が変わらないのがわかるはずだが?」
言われてライドもミリーの動きに改めて注視してみる。
すると、地面すれすれまで身を屈めて飛び込んでおきながら直前で起き上り様切り上げたり、飛びあがって頭上から振り下ろした剣を敢えて狙い難い緑髪の男の胴体まで落としている場面が何度もあった。
「何あれ。変じゃないか?」
「だから、最初からそう言っている」
ライドの問いかけに「何を今更」とばかりに返すターバンの男。腕を組み、ため息のオマケまでつけてきたその態度に僅かに顔を歪めたライドだが、ふと、その不思議さと男の持っている剣の形状に見覚えがある事に気がついた。
そして、それがどれ程危険な代物かという事も──
「……まさか……」
湾曲状の装飾を持った奇妙な剣。
通常ならば有り得ない機能を有した武器。
以前見たのは白銀の髪を靡かせた少女が手にした白く輝く『聖剣』──
「いけない!! 直ぐにそこから離れるんだ!! 赤い髪の女の子っ!!」
丁度剣を振り抜いた直後にライドの声を聞いたのだろう。ミリーは駆け抜けながら一瞬目線を走らせて声を掛けてきたのがライドである事を確認すると、直ぐに緑髪の男から離れるべく重心を緑髪の男とは反対方向に切り替えた。
「りょーかっうにゃっ!?」
しかし、そこで異常が起きた。
緑髪の男から距離を取ろうと振り返りつつ後方に飛んだはずのミリーの体が、まるでロープか何かで引っ張られたように男に向かって引き寄せられたのだ。
「……ここまで好き勝手やられて……」
緑髪の男は顔を上げると手にした剣を振りかぶる。
鍔元に黒く輝く魔石を携えた『魔道剣』を。
「無傷で逃せるか!!」
防ぐ事が出来たのはただ運が良かっただけか、それとも条件反射か、もしくは普段の訓練の賜物だったか。
強引に引っ張りこまれて空中に浮いていたミリーだったが、振り下ろされた刀身を咄嗟に手にした剣で受け止める。
しかし、その威力までは殺しきれず、弾かれたように吹き飛ばされ、ネリイの家の門柱に背中を強かに打ち付ける結果となってしまった。
「……うぅ…………いたいぃ」
「ミリー!」
背中を強打したにも関わらずユラリと立ち上がったミリーに対して、ターバンの男が焦ったように声を上げる。
先程の会話から察するに、2人は兄妹なのだろう。
ミリーが攻撃を食らうまでは腕を組んで憮然としていた姿が崩れてしまっている事からも、肉親か少なくともそれに近い間柄だという事はよくわかる。
「……魔道剣……だ」
「何っ!?」
だからだろう。思わず口から出たライドの呟きに全てを察すると、その視線を緑髪の男の持っている武器に向ける。
「……! “
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