9話 一夏戦
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い流星と化した白式を見て、鬼一もそれに受けて立つ。これからどう試合が動こうが、時間が無くなっていくたびに鬼一の勝率は無くなっていくのだ。
故に、鬼一は速攻に全てを託す。自分の感性と読み、そして相棒である鬼神を信じて。
だが、シンプルな考えに対して余計な意識は削ぎ落とされ、動きのパフォーマンスを向上させる。
時としてそれは、神業、と言われるものを生み出すほどに。
正眼に構えて突進してくる一夏に対して、鬼一は折れた夜叉を全力で―――。
―――投擲した。
「うっ!?」
最大速度に到達した一夏にそれを回避することは出来ない。直撃したところで絶対防御が発動するわけではないのだが、IS初心者の一夏は咄嗟にそれを迎撃してしまった。しかもせっかくの速度を落としてしまった。
それが地獄の十三階段だと気付かずに。
キィン、と甲高い音を立てて上に打ち上げられる夜叉。
打ち上げた夜叉を目で追った一夏は視線を正面に戻す。
そこには全ての鬼火を展開し、突貫してくる鬼神の姿。
「おおおおおおおっ!」
切り上げていた雪片弐型の刃を返し、全ての力を込めて振り下ろす。
一夏の気合を全身に浴びても決して怯むことなくその一撃に飛び込む。
―――そして鬼一は奇跡を起こす。
「……え?」
一夏は目の前の出来事を信じられず、意識が凍りつく。
零落白夜を受ければどんなISだろうと問答無用でシールドエネルギーを削りきり、行動不能にする。
じゃあ、なぜ目の前のISは未だに起動し続けているのか―――!
雪片弐型に宿っていたエネルギーが離散する。
無力化武装『鬼手』。
鬼一はこの土壇場で、刹那にも満たない時間でタイミングを合わせて雪片弐型の一撃の無力化を成功させた。
鬼一の両手、その掌で雪片弐型を挟んでいる。所謂真剣白刃取りを鬼一は行った。
ピピっ、と白式からアラートが伝わる。レール砲にロックされる音。
「―――っ!」
一夏は離脱するために雪片弐型を抜こうとするが、鬼一は強く握りしめて離さないようにする。
レール砲が火を吹く。
「っ!?」
鬼一は思わず舌打ちが漏れそうになった。
目の前にいる敵はどれだけ食い下がってくるのか。
一夏は自分の唯一の武器である雪片弐型を手放して、レール砲の射線から身を投げ出したのだ。しかも身を投げ出すために鬼一の腹部を蹴り飛ばすというオマケつき。
蹴り飛ばされた際に照準が大きく狂いあらぬ方向に着弾する。
蹴り飛ばされた鬼一は雪片弐型を手放してしまい地面に落とす。鬼火を展開し態勢を整える。空中を舞っていた夜叉が落下し、それ
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