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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第二十二話その2 皇帝陛下の憂鬱な日々なのです。
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の髪をのぞかせたメイドのヴァネッサが立っていた。メイドにしてはなれなれしいが、それは無理もない。彼女は宮廷の特務組織(と彼女は言っているだけであったが、グレーザーは大貴族の誰かにつながる人間だとみている。)にかかわる人間で、ベーネミュンデ侯爵夫人の監視役として、グレーザー医師を補佐しているのだから。
「白銀の谷」事件の際にもラインハルトの配属先を瞬時に引き出して提示したのも、ヘルダー大佐やクルムバッハ少佐を「暗殺役」として示したのも、この女性である。
グレーザー医師はそれには答えず、無言で歩き出した。女性もそれに続く。
「困ったことだ」
もう声の届かないところまで来るとグレーザーはまたと息を吐いた。
「グリューネワルト伯爵夫人さえいなくなれば、皇帝陛下のご寵愛を取り戻せると、今だに思っていらっしゃる一途さは純粋ではあるが・・・・」
「無理でしょうね。そうなればなったでまた第二のグリューネワルト伯爵夫人が出現するだけですわ」
「そうなるやもしれぬ。だが、それに手を貸すということは、お前の背後にいる方々も何かしら思うところはあるのであろう?」
グレーザーの問いかけにヴァネッサはただ軽く首を振っただけだった。合間にちらとのぞかせた微笑はそこの知れないものであった。
「さぁ、どうですかしら、私はただ指令通りに動いているだけでしてよ」
「・・・・・・」
「いずれにしても、代わりの者をすぐに、というわけには参りませんわ。何しろ優良な手駒の数というものは、それほど多くはないというのが昨今の相場ですから・・・・」
「では、数か月も待たせるというのか?こちらの身が持たんぞ。かといって今手を引けば・・・・」
その時ヴァネッサの顔が何とも言い難い表情になった。そういうところはこの女性がただの「メイド」ではなくある種特別な組織に属していることを垣間見せてくれる。
「あなたもただでは済まないでしょうね。ここまで足を入れてしまったのですから。陰謀という名の沼に」
「・・・・・・・」
ヴァネッサはヘアーキャップを脱ぎ捨てると、さっと髪をかき上げた。ほんの一瞬だったが、艶なしぐさに見えた。
「私から雇い主に話をしてみますわ。皇帝陛下を動かし、滞在は無理にしてもせめてお食事なりとも共にするようにと。そうなればしばらくは持つでしょう。永久ではないにしても」
「これを機会にご寵愛が戻ってくれればよいが、というのは虫が良い想像かな」
ヴァネッサは軽い笑い声をあげただけだった。それだけでグレーザーにとっては充分だった。
こののち、皇帝陛下はそう頻繁にはないにしても、ベーネミュンデ侯爵夫人と食事を共にするようになった。これを聞いたケルリッヒ宮内尚書は内心首をかしげたが、ほどなくしてそれがある筋から
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