少年探偵団
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「コナンくーん。そろそろ起きないと遅刻するよ。」
食卓に出来たばかりの朝食を並べながら、ピンクのブラウスに白のジャケット姿の蘭は未だに部屋から出てこないコナンに声をかける。
「ほっとけよ。高校生にもなって起こしてもらうなんて、情ねぇ………。」
言いながら新聞に目を通す小五郎は食卓に置かれた湯のみに手を伸ばす。すかさず蘭はその湯のみを取り上げた。
「お、おい。」
「お父さんだって人のこと言えないでしょ。毎日毎日、競馬に麻雀にお酒。いい加減にしてよね!」
「しゃーねーだろ。仕事の依頼が来ねーんだからよ!」
そう言って蘭から湯のみを奪い返した小五郎はお茶をすすってから、再び口を開いた。
「それによぉ、なんであのボウズたちが『少年探偵団』なんて呼ばれてチヤホヤされんだよ!」
「そりゃあ、コナンくんは小さい頃から探偵ごっこやってたし。」
蘭は席につくと両手を合わせ、小さくいただきますと言った。
「でもよぉ、その割には新聞にはあいつらの写真しか出ねーじゃねーか。」
小五郎は怪訝な顔つきで、持っていた箸の先を蘭に向けた。そんな小五郎を横目で睨んだ蘭だったが諦めたようにため息をつくと、箸を置いた。
「あいつらって、元太君たちのことでしょ? ……そう言えばコナンくんも哀ちゃんも載ってなかった……。どうしてだろう、写真嫌いなのかしら?」
そう言って蘭はおもむろに時計に目をやった。
「やだ、もうこんな時間! コナンくん起こさないと。」
そう言って立ち上がる蘭に小五郎は首を振る。
「ほっとけよ。」
「でも、もしかしたら体調が悪いのかも。」
言いながら小五郎と同室になっているコナンの寝室の扉を開けるが、コナンの使っている布団は綺麗に畳まれていてそこにコナンの姿はない。
「あれえー、コナンくんいないじゃない。」
「もう学校に行ったんじゃねーのか?」
のんきに味噌汁に口をつけながら言う小五郎に蘭は振り返った。
「朝ごはんも食べずに?」
「きっと急ぎの用でも思い出したんだろうよ。」
車通りの多い幹線道路を通る通学路。青空の冴え渡る清々しい朝。コナンと灰原は一足先に学校へと向かっていた。
「で、朝っぱらから押しかけて来たと思ったら、朝食中の私を無理やり連れ出していったい何の用なの?」
「いや、蘭と顔合わせづらくってよ。」
そう言って苦笑しながら頭をかくコナンに、灰原はため息を漏らした。
「そんな事だろうと思ったわ。でも、どうするの? こんな時間から学校に行ったって――――。」
右手首の腕時計に目を落としながら言いかけた灰原の言葉を遮るように、甲高い女性の悲鳴がとどろいた。交通量の多い四車線の道路の向こう側で二十代半ばのスーツ姿の女性が何か叫んでいる。
「ひったくり
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