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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第512話】
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」
表情に陰りが落ちるツバキ、そう簡単にはいかないのはわかってはいたが、やはり根が深そうだった。
「……あの方は、私の声に耳を傾けませんでした……」
歩くのを止める、その場で立つツバキは言葉を紡いでいく。
「……いえ、もしかしたら……私の言葉は聞こえていなかったのかもしれません。 ……ヒルト様の様に、コアである私達と対話が出来る方というのは滅多に現れないのです。 ……それを明確に分かりやすくするために、搭乗者とのシンクロ率という数値で計ることが出来るのです」
そういや、一学期の授業で専用機のシンクロ率云々の話があった気がする。
一律100が基本で、其処から纏った時間によって増減するんだったか――。
「私、ツバキと篠ノ之箒様とのシンクロ率自体は高いのです。 ……それも、個人の才能を引き上げるレベルで――とはいえ、其処は私ではなく、私を産み出した方のお陰なのですが……」
……篠ノ之束だろう、今何処で何をしてるのやら。
「話が逸れました。 ……ヒルト様、私は……」
言いにくいのか言葉を詰まらせるツバキ――そんなツバキの頭を、俺は撫でると驚いた様に見上げた。
「……今は無理なのは分かる、だけど……あいつ自身が今変わろうとしてる。 俺はそれを信じたい、彼女自身が――其処から人として成長する事が出来るって。 ……まあ、同じ高校生の俺が偉そうに言える立場じゃないがな」
「ヒルト、様……」
暫く頭を優しく撫でる、それが心地好いのか瞼を閉じたツバキ。
暫く撫でた後、ツバキは――。
「……分かりました、ヒルト様。 今一度、私は彼女に力を託します」
「良いのか、あっさり決めて」
「えぇ。 ……ヒルト様がこうまでして私を説得に来てくださいました。 ……ヒルト様、いつか……私も、ヒルト様を主君と御呼びしても宜しいでしょうか?」
「え? 構わないぞ? てか、主君って呼び方、雅みたいだな」
「ふふっ、そうですわね」
淑やかに微笑むツバキ、そして――。
「ヒルト様、またいずれ、私に会いに来てくださいますか?」
「あぁ、構わないぞ? コア・ネットワーク経由になるが」
「えぇ。 ヒルト様は特別に、ここに来るのを許可致しますので」
特別にという言葉を少し強調したツバキ、少し照れ、ツバキは顔を少し逸らした。
「……ヒルト様、ツバキは……いつまでも御待ちしていますわね」
「ああ、また来るよ。 ……てか、帰り道だけがやっぱりわからないんだよな……」
周囲を見渡しても出口は無く、やはりツバキの力で戻してもらわないとダメなのだろう。
「ツバキ」
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