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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第512話】
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すとなれば抵抗はあるだろう。

 断るならそれでも構わないと思い、俺は右手を差し出して預けるように無言でそう告げた。

 そして――。


「わ、わかった……」


 消え入りそうな声で言うと、紅椿の待機形態状態である紅い鈴付きの紐を手渡してきた。

 それを受け取ると俺はギュッと優しく握り締め、心で語りかける。

 ――紅椿、聞こえているなら俺はお前と話がしたい。

 そう語りかけ、俺は瞼を閉じると真っ白な閃光が俺の視界に拡がっていった――。

 気付くと、神社らしき場所の前に俺は立っていた、美春や雅の介助無しでコア個人の世界へやって来たのは初めてだった。

 周囲を見渡す――神社の周囲には出店の屋台等があるものの、誰かが居る気配というものは感じなかった。


『……そのまま真っ直ぐ、道なりに来てください』


 そんな声が聞こえてきた、チャネル通信に似た感じの声に導かれ、俺は歩いていく。

 神社の奥、立派な御神木がそこにあり、その根本には黒髪をそのまま下ろした巫女姿の女性が正座で座っていた、一歩一歩近付くと、閉じていた瞼を開く彼女――。


「……御待ちしていました、ヒルト様」

「……君が、紅椿の?」

「……はい、紅椿と申します。 どうぞよしなに……」


 そのまま頭を下げた紅椿――だと機体名そのままなので、俺は――。


「んじゃ、ツバキだな」

「……はい? ……え……と」

「君の名前だ、俺は機体名で呼ぶよりは名前らしくこう呼ぶ方が好きだ。 ……いやだったか?」


 暫しの沈黙の後、首を横に振ると。


「いいえ、ありがとうございます……ヒルト様。 紅椿――いえ、ツバキは嬉しく思います」


 淑やかに微笑むその姿は、雅とは違った大和撫子の形だろう。


「そっか、それはよかった」

「ふふっ……。 ……ヒルト様、よろしければ、少し歩きませんか?」

「あぁ、構わないぞ」

「ありがとうございます。 それでは……」


 そう言って俺の一歩後ろにつくツバキ、隣に立つのではなく昔ながらの男性をたてる形なのだろうか。

 とりあえず来た道を戻るように歩き始めた俺、ちゃんと着いてきてるかを確認すると、歩幅小さく歩んでいた。


「……悪い。 ツバキのペースに合わせるよ」

「ありがとうございます、ヒルト様。 ……ふふっ」


 柔らかな笑みを浮かべたツバキ、歩くスピードを落としてさっき居た神社の屋台前を歩く。


「……ツバキ」

「はい、何でしょうか?」

「ん……直ぐには難しいかもしれないけどさ。 ……もう一度、篠ノ之にチャンスを与えてやってくれないか?」

「………………
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