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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃U篇)
外伝〜碧の御子と大魔導師の邂逅〜
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「これはどうも御丁寧に。貴女なら私の事もご存知でしょうが、名乗られたからには私も名乗らないと失礼ですね。――――私の名はミッシェル・ド・ラップ・ヘブン。かつて”大魔導師オルテガ”と呼ばれた者。あの娘を……ゲルドの運命を改変してくれた上、ゲルドの杖に宿った私にゼムリア大陸に来てからのゲルドを見守らせてくれた因果へと改変した事……今でも感謝しています。」

「……キーアを訊ねたのはゲルドの”今後”の事でしょう?」

霊体の男性――――ミッシェルにキーアは静かな表情で問いかけた。



「はい。……本来”未来”を知る事は”禁忌”とされますが、それでも私は知りたい。あの娘の未来が幸ある未来であるのかを。そしてもしあの娘の未来が”かつてと同じ”なのならば、何とか救ってあげたいのです。」

「―――大丈夫だよ。キーアの時代のゲルドは勿論生きているし、結婚もしていて子供だっているよ。」

「!!……そうですか……それはよかった…………しかしどうやって”ラウアールの波”を?まさか”空の女神”と異世界の神々が協力してあれを消し去ったのですか?」

キーアの口から語られたゲルドの未来を知ったミッシェルは目を見開いた後安堵の溜息を吐いたが、すぐに表情を戻して真剣な表情でキーアに問いかけた。

「…………うん。でもみんなの協力があったからこそ、成し遂げる事ができたんだ。」

「そうですか…………――――ありがとうございます。お蔭で肩の荷が降りました。」

「ううん。キーアはミッシェルにできる”償い”をしただけ。」

「?私に対する”償い”……?―――――!なるほど。私は”死の運命”から解放されたゲルドの未来を見る事はできないのですね?だからこそゲルドの未来を躊躇う事無く教えてくれたのですね?」

辛そうな表情をしているキーアの言葉に不思議そうな表情をしたミッシェルだったが、すぐに察しがついて静かな表情で問いかけた。



「うん…………ミッシェルはゲルドやみんなを助ける為に…………」

「―――そうですか。貴女は私に対して罪悪感を持っているようですが、私は貴女に感謝していますので、私が消えても私に対して罪悪感を持つ必要はありませんよ。」

「……自分が消える事に怖くはないの……?」

穏やかな表情で語るミッシェルにキーアは悲痛そうな表情で問いかけた。

「私は既に生を終えた身。あの娘やあの娘を受け入れてくれた若者達を救う為にこの魂を犠牲にするのならば本望です。それでは私はやる事がありますので失礼します。―――――また会えるといいですね。」

「……………………」

穏やかな笑みを浮かべるミッシェルはキーアの返事を待たず、転移魔術によってその場から消え、その後目的を果たし、ゲルドの杖に戻った。
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