第十二話 真の友人その五
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「中々ね」
「だったら今日はね」
「お風呂に入ってお酒を飲んで」
「ゆっくり寝るのよ」
「そうすればいいの」
「そうよ、ほっとしたでしょ」
優しい顔でだ、優花に言ったのだった。
「これで」
「龍馬に話してね」
「そして龍馬君は優花の思っていた通りの人だった」
「本当にほっとしたよ」
このことも含めてというのだ。
「心からね」
「だったらね」
「ゆっくりとだね」
「ええ、お風呂に入って温まって」
また言った優子だった。
「お酒も飲んでね」
「ゆっくりと寝ればいいのね」
「そうしてね」
「わかったよ、じゃあ今からお風呂に入るよ」
優花は微笑んでだ、姉に答えた。そこで身体を洗ってから湯舟でじっくりと身体を温めた。その後でだった。
優子は自分が作った夕食を二人で食べた、料理は全て優花の好きなものだった。
「ハンバーグにマッシュポテト、カボチャと人参とキャベツとパプリカのスープだね」
「ええ、それにデザートにタルトも買ってあるわ」
「全部僕の好きなのだね」
「それとね」
それに加えてというのだ。
「ソーセージもあるわ」
「あっ、それで」
「デザートの前にね」
「お酒飲めばいいんだね」
「お酒は赤ワインよ」
これもまた優花の好きなもんだ。
「甘いね」
「全部僕の好きなものだね」
「それを口にしてね」
「食べればいいんだね、ただ」
「ただ?」
「用意がいいね」
優花は姉のそのことに気付いた。
「随分と」
「ええ、今日言うって言ってたわね、優花」
「龍馬にだね」
「それでなのよ」
「龍馬がこれからの僕を受け入れてくれることも」
「わかっていたから」
優子は確信していたのだ、全て。
「それでなのよ」
「用意してくれていたんだ」
「貴方が家に帰るまでにね」
「そうだったんだね」
「こうした時って不思議よね」
微笑んで言った優子だった。
「貴方は信じていても怖かったわね」
「龍馬を」
「ええ、けれど私はね」
「龍馬を素直に信じられたんだね」
「間違いなくって思っていたわ」
それこそ一点の曇りもなくだ、龍馬を信じることが出来たというのだ。
「貴方を受け入れてくれるってね」
「そのことが不思議なんだね」
「自分自身のことなら怖くなるけれど」
例えわかっていることでもというのだ。
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