第十二話 真の友人その三
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「絶対に離れるものか」
「そうなんだね」
「ああ、俺はここにいる」
絶対にという言葉だった。
「そしてこれからもな」
「いいんだね」
「決めたんだよ」
固い決意と共にだ、龍馬は優花に言い切った。
「今ここでな」
「だから」
「御前も俺に言うって決めたんだよな」
「迷ったけれどね」
「俺を信じるって決めたな」
「それでね」
「だったらな」
それならというのだ。
「俺も一緒だ」
「僕の横にいてくれるんだ」
「友達だからな」
それで、というのだ。
「いるな、そうしていいな」
「有り難う」
今度はこう言った優花だった。
「それじゃあ」
「よく話してくれたな」
「よくって」
「俺を信じるって決めてくれて」
「そのことが」
「嬉しいさ、だったらな」
正面を見据えてだ、龍馬は言った。
「俺も応えるからな」
「そうしてくれるんだ」
「絶対にな、御前が女の子になってもな」
それでもという言葉だった。
「俺は一緒だ、友達だ」
「それじゃあ」
「何かあったらまた俺に言えよ」
「そしてだね」
「ああ、力になるからな」
「そうなんだね」
「今決めた、絶対にってな」
「じゃあ」
龍馬の言葉を聞いてだ、優花はまた言った。
「僕は女の子になっても龍馬と友達だね」
「当たり前だろ、御前は御前だからな」
「そういうことだね」
「そうしていこうな」
「うん」
優花は雨の中で頷いた。
「これからもずっとね」
「そういうことでな、じゃあ帰るか」
「そうだね、けれどずっと歩いてるのに」
優花は視界が悪いことをここで実感した、それは嵐のせいではなかった。目が滲んでいてそのせいもあった。
「中々前に進まないね」
「そうだな、けれどな」
「けれど?」
「前に進んでいったらな」
そうすればとだ、龍馬も前を見つつ優花に言った。
「そのうち着くさ」
「そうだね、前を進んでいたらね」
「絶対にな」
やがてはというのだ。
「着くからな」
「歩いていけばいいね」
「このままな」
「じゃあこのまま行こうか」
「止まってもな」
それこそというのだ。
「この嵐の中だと」
「雨も風も続くらしいから」
「何もならないな」
「だからだね」
「進んでいこうな」
「そうだね」
「二人でな」
龍馬は正面を向きつつ優花に目を向けた、優花も正面を見ていた。そしてその顔は俯いてはいなかった。
その優花にだ、こうも言った龍馬だった。
「前を見ていないと前に進めないな」
「うん、そうだよね」
「そして前に進んでいったら」
「何時かはね」
「着くからな」
「歩いていけばいいね」
「このままな」
こうしたことを話してだ、そのうえで。
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