第六章
[8]前話 [2]次話
「それを」
「ハイク?」
「ハイクをか?」
「ああ、見たか?」
こう問うのだった。
「そっちは」
「いや、そう言われるとな」
「ちょっとな」
「ハイクは見たけれどな」
「白いハイクな」
「よく整った白いハイクだっただろ」
こう言うのだった。
「洗濯もされていてアイロンもかけた」
「奇麗なか」
「汚れ一つなく皺もない」
「そうしたハイクだった」
「そう言うんだな」
「あの人はいつもそうしたハイクを着ているんだよ」
非常に整えられたそれをというのだ。
「しかもすれ違ったら薔薇の凄くいい香りがしてな」
「香水?」
「それか?」
「服に香りもな」
その二つも備えているというのだ。
「どっちもな、この二つも大事なんだよ」
「美人かどうか」
「その見極めはか」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「だからな」
「そういうところを見てか」
「爺さん達はあの人が美人とわかった」
「そうだったんだな」
「実は」
「そうだよ、顔は見えなくてもな」
ハイクでだ、それでもというのだ。
「美人かどうかはわかるんだよ」
「そうなんだな」
「顔が見えなくてもか」
「そうしたものでもわかるんだな」
「美人かどうかって」
「そうだ、そこを見極められる様になるのはな」
まさにというのだ。
「人生経験からなんだよ」
「爺さん達みたいに長く生きてか」
「色々なことを経験してか」
「わかるようになる」
「そうなんだな」
「これはこのことだけじゃなくてな」
美人の見極めに限らないというのだ。
「この世のあらゆることについてそうなんだよ」
「何でもか」
「そこからわかるんだな」
「人生経験から」
「それから」
「そうなんだよ」
まさにというのだ。
「御前さん達はまだまだ若い、だからな」
「そうしたことはわからない」
「そういうことか」
「ああ、長生きすることじゃ」
老人は笑ってだ、二人にこうも言った。
「そうすればわかるぞ」
「そうなんだな、いや何かな」
「今日は凄いこと教えてもらったな」
ラシッドもシャドルもだ、老人の話を聞き終えて顔を見合わせて話した。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ