第四章
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「あの人じゃないのか?」
「白いハイクのか」
「大体三十代だろ、あの人」
「そうだな」
シャドルも頷いた。
「あの人はな」
「それじゃあな」
「爺さん簾中が言ってた美人さんか」
「そうじゃないのか?」
ラシッドは美人を見つつそのうえでシャドルに話した。
「あの人が」
「かもな、しかしな」
「ああ、右目だけが見えていてな」
見れば本当にだ、右目だけがヴェールから見えている。
「それだけでな」
「美人かどうかは」
「わからないな」
「それだけだとな」
到底というのだ。
「わからないな」
「そうだな、どうしてわかるんだ」
「難しいな」
「どうにもな」
「区別がつかないな」
「美人かどうか」
二人で話す、それでだった。
シャドルはラシッドにだ、こう提案した。彼もまたそのハイクの美人を見ながら。
「当の爺さん連中に聞いてみるか」
「話をしていたか」
「ああ、どうして美人ってわかったのかな」
「ハイクから片目だけが出ているだけだとな」
それこそとだ、ラシッドも言った。
「わからないからな」
「どうにもな」
「それでどうしてわかるのかな」
「御前も聞きたいと思っただろ」
「ああ」
実際にとだ、シャドルはまたラシッドに言った。
「そうしないとな」
「それじゃあな」
こう話してだ、そのうえでだった。
二人でだ、あらためてだった。
その老人達のところに行ってだった、実際に聞いてみたのだった。
「あの、いいかな」
「ちょっと爺ちゃん達に聞きたいんだけれど」
こう言って声をかけるのだった。
「ちょっとな」
「爺ちゃん達の噂話で」
「ああ、何だ?」
「何が聞きたいんだ?」
老人達は街の道の端で話をしているところに来た少年達に顔を向けて応えた・
「一体な」
「どうしたんだ」
「ああ、市場に凄い美人さんがいるって言ってたな」
「三十代位の」
「その人がどうして美人ってわかったんだ?」
「どうしてなんだ?」
こう聞くのだった。
「その人が美人ってわかるんだ?」
「一体全体」
「俺達もその人見たけれどな」
「ハイクから片目だけ出しててな」
二人が見たものをありのまま話した。
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