第一幕その二
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「お話を聞きましょう」
「それじゃあね、ねえ」
恵梨香の提案を聞いてです、カルロスは。
すぐにです、足の主に声をかけました。
「起きてくれるかな」
「何?」
返事がすぐに返ってきました。
「誰か僕を読んだの?」
「この声は」
すぐにです、神宝はその声で気付きました。
「間違いないね」
「うん、ボタンだね」
ジョージにもわかりました。
「彼の声だよ」
「そうだよ、僕はね」
声の主は起き上がってでした、指で目をこすりながら出てきました。白い水兵さんの服を着た男の子が。
男の子はあらためてです、五人に言いました。
「ボタン=ブライトだよ」
「久しぶりだね」
カルロスがボタンに応えます。
「元気そうだね、君も」
「あっ、君達だったんだ」
ボタンは五人を見て頷きました。
「誰かなって思ったけれど」
「僕達これからオズの国にいるけれど」
「あれっ、ここオズの国じゃないの?」
「うん、僕達の世界だよ」
「そうなんだ」
「どうして僕達の世界にいるの?」
カルロスはボタンにです、あらためて尋ねました。
「僕達これからオズの国に行くつもりだけれど」
「わかんなーーーい」
これがボタンの返事でした。
「寝ていて起きたらね」
「ここにいたんだ」
「そうなんだ」
「いつもこうなのよね、この子」
ナターシャは首を傾げさせています、ただお顔はいつもの通りクールなポーカーフェイスのままです。
「寝ていて起きたら」
「思わぬところにいるんだよね」
「毎回ね」
ジョージと神宝も言います。
「それで今回もだね」
「しかも外の世界に来ているんだ」
「まあかかしさん達も」
恵梨香は最初にかかしさん達を見たことを思い出しています。
「オズの国に出ていたから」
「扉から出てね」
カルロスが恵梨香に応えます。
「そうだったね」
「だったらこの子もね」
「寝ているうちになんだ」
「オズの国をね」
「出ていたんだ」
「そうじゃないかしら」
「夢遊病?」
ふとです、神宝はこう言いました。
「ボタンは」
「だから寝ていてもだね」
「うん、移動してるのかな」
「そうなのかな」
ジョージはボタンの言葉に考え込みました、
「確かにあるかな」
「そうじゃないとね」
「いつも寝ている間に移動しているみたいだからね」
「だからね」
「そうかも知れないね」
「そうだよね」
「まあこのことはね」
ボタンが夢遊病かどうか、カルロスが言うには。
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