第5章 汝平和を欲さば戦に備えよ
第44話 撲殺天使
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目まぐるしい夏休みが終わり、2学期になった。久々の登校、学友に笑顔で挨拶しながら学び舎へ向かうのだが――――。
「ごきげんよう、はやて様」
「……ごきげんよう」
なぜ、みんなボクへのあいさつが、ごきげんよう、なのだろうか。よそでは普通に挨拶してるのに。なんとなく疎外感を感じる。いつものこととはいえ、少々物悲しい。駒王学園三大お姉さまの肩書は伊達ではなかった。と、そこに。
「はやてさん、おはようございます!」
「おはよう、アーシア」
やっと普通に挨拶された。思わずほっと笑みをこぼすと、嬉しそうな顔をしていたアーシアがいた。うちのアーシアは天使やでえ。や、抱きつくくらいならいいけれど、匂いをかぐのは勘弁して欲しい。
すーはーと匂いを嗅ぐアーシアが子犬みたいでかわいい、と思えるようになった自分はもうダメかもしれない。その実態は子犬どころか獰猛な肉食獣なんだがな。
ひそひそ声が聞こえる。さすがですお姉さまとか、百合百合しいとか。ファンがアーシアに危害を加えないか心配だったけれども、アーシアはとてもかわいがられていた。ボクらは公認カップルらしい。
シャマルの仕業だろう。百戦錬磨の参謀たる彼女にかかれば、情報操作などお手の物だ。こういうときには頼りになる。
「そういえば、はやてさんのクラスに転校生がくるそうですね」
「ああ、そうらしいね」
「…………浮気しちゃだめですよ?」
ぼそりとアーシアが何か呟いたが、風に吹かれて聞こえなかった。なんかものすごい鳥肌がたったけれど。
◆
「転校してきました紫藤イリナです! ――――異教徒ども! ともに主を称え、正しい信仰を世界に教え広めていきましょう!」
笑顔でぶっ飛んだ自己紹介をするのは紫藤イリナという少女だった。かつて聖剣使いとして駒王町にやってきてグレモリー眷属たちと共闘したことが懐かしい。
教室の生徒が苦笑するにとどめているのは、彼女の明るいキャラクターのせいだろうか。
宗教に抵抗感が強いこの国においてここまで露骨な信仰心を示す彼女の姿は、かえって清々しく感じられたらしい。騒々しいのがきたなあ、というのはクラスの一致した見解だったが。
兵藤一誠は幼馴染の変わらぬ姿に不安とも安心ともにつかない感情を覚えていた。さて、質問攻めにあいつつ彼女は一誠と幼馴染だとばらす。そのとき嫌悪感ではなく羨まし気に黄色い悲鳴が上がったのは、彼にとって意外だった。
リアスに相応しい男になるために大変身した一誠の人気は思いのほか高かったらしい。エロ仲間からは血の涙を流しそうな目に射抜かれたのはご愛敬だ。
そんな風に教室でひと騒動起こした後、放課後にオカルト研究部の部室にきた。イ
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