Side Story
少女怪盗と仮面の神父 16
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「いけません！ 直ぐに戻ってください！」
「いーやー。向こうに居てもみーんなバタバタしてて構ってくれないし、寂しいもん。アーレストさまが相手してよ。明日の朝までゆっくりと、ね？」
「……人前でわざと誤解を招く言い回しをしないでください。」
「赤くは……なってくれないのね。んもう！ アーレストさま、硬すぎっ！」
「聖職者に何を期待してるんですか、貴女は……」
(……えー……と……誰？ アーレスト神父の知り合い？)
珍しい焦り顔で判りやすく動揺しながらも呆れている神父に、彼よりは低くミートリッテよりずっと高い身長で豊満一歩手前くらいのしなやかな体をぐいぐい押し付ける、ややつり目の女性。
白と赤と銀が混じる豪奢な花飾りを挿したふわふわの長い髪は神父と同じ金色で、暗闇にも爛々と輝く大きな目は、青空をくっきりと映し出す濁りが無い湖面色だ。
着ている服をよく見ると、明らかに一般の方々とは趣が異なる深いスリット入りの真っ赤なロングドレスに、これまた真っ赤なピンヒール。白い肌を惜しみなく露出した両肩と左脚は、同性であるミートリッテにまで圧倒的な妖艶さを印象付けている。
……というのに、彼女の幼い言動と表情がそれらを総て台無しにしていた。
酸いも甘いも噛み分けた百戦錬磨な大人の体に、あどけない少女の心が入っているかのような違和感。思わず首を捻って凝視してしまう。
(マーシャル……初めて聞く名前だ。近隣の居住地に住む人？ こんな派手な格好を好む女の人、一度見たら絶対忘れられないし、ネアウィック村の住民じゃないのは確かだけど……って言うか、私の知り合いに砂浜をピンヒールで疾走できる女の人なんかいない！ どういう脚力してんのよ！？ 呼吸も乱れてないし！ ありえないでしょ！ ……でも、なんか……誰かに似てる気がする？ この声も、何処かで聞き覚えがあるような無いような……)
「聖職者だって結婚するじゃない。だったら女遊びもイケるでしょ！」
「結婚は基本許されていますが、遊びはしません。貴女はもっと自分を大切になさい！ こんな時間に此処まで来たりして……彼女に見付かったら激しく叱咤されますよ？ 良いんですか？」
「む……それは困る。嫌だ。」
いきなり渋面になって、神父から距離を取る女性。
「仕方ないなぁ。アーレストさまには別の機会に遊んでもらおうっと。でぇもぉー……」
両腕を組み、右足の爪先でトントンと軽く地面を蹴って……
ふと。
ミートリッテを見て、にやりと笑う。
「こっちは外せない！」
「あ……っ」
アーレストが手を伸ばして止めようとした時には、もう遅い。
「え……？ は、いぃっ！？」
マーシャルはミートリッテの両肩を正面から素早くガシッと掴み、互いの息が掛かるほど間近に顔を寄せた。紅を
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