Side Story
少女怪盗と仮面の神父 16
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大変そうですね」
「これが私の勤めですから」
「でしたら、ついでに私の相談にも乗っていただけませんか?」
「伺いましょう」
「最近、とある腹黒い策士に、まんまと嵌められてしまいまして。不本意な約束まで交わしちゃったんですよね。追い払う方法とか、諦めさせる方法、ご存知ありませんか?」
階段を離れて家と家の間に足を止め、顔だけで振り向くと
「それは大変でしたね。ですが、即刻命に関わる問題ではなさそうですし、まずは約束の内容に正面から向き合ってみてはいかがでしょうか? 答えもそこから導き出されるかも知れませんよ」
アーレストは笑顔のまま、ミートリッテの脇を抜け。
十歩先にあるハウィスの家の前で振り返った。
「貴女の言う腹黒い策士さんも、貴女を悲しませたくて罠を張ったわけではないでしょうから。どうか……貴女を取り巻くすべての方々の行動に目を、言葉に耳を傾け、その内に込められた思いを信じてあげてください」
(罠だったと認めたな。やっぱり、あの女衆の攻撃はわざとじゃないか! この卑怯者め!)
誰の話をしてるのか解っていて、よくもまあ、ぬけぬけと言えたものだ。
そして、これだけ露骨な態度を見せてもまだ、退くつもりはないらしい。
「仕方ないですね。諦めさせるのは諦めます。もちろん、村の人達のことは信じてますよ。怪しい誰かさんよりも、ずーっとね」
大袈裟にため息を吐いて、アーレストの隣に立つ。
別れの句を告げようと、改めて見上げた彼は
「……本当に……そうであれば良いと、心から願っていますよ」
百合の花束を抱えた女神アリアの像を連想させる眼差しで。
ミートリッテを静かに見下ろしていた。
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