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八十稲羽影祓師
影祓いの依頼
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「すごい田舎ですね」
指先部分は穴の開いたタイプの黒い手袋を付けた青年が自動車の中から外の風景を見てそう呟いた

「そろそろガソリンがまずいな、七代、ガソリンスタンドとか周囲にないのか?」

七代と呼ばれた青年は手袋を付けたまま地図をめくるが現在地周辺には何の建物も載っていないようだ

「ないみたいです、伊佐地さん」

伊佐地と呼ばれた自動車を運転している男はぼやくように

「やれやれ、なんで俺達がシャドウとやらの調査に来ないといけないんだ」

「伊佐地さんは俺を届けるだけですしまだいいじゃないですか、俺なんてこの田舎に1年…それも年齢を偽って滞在しないとダメなんですから」

そもそもことの始まりは数日前















東京の喫茶店にて

「来たか、七代」

七代千馗は上司である伊佐地に呼び出され喫茶店を訪れた

「お久しぶりです伊佐地さん」


2人とも日本OXASに所属している封札師だ

日本OXAS…………正式名称、国立国会図書館収集部特務課はカミフダと呼ばれる代物を収集することが仕事で七代千馗はカミフダの中でも特に危険な『呪言花札』という物をすべて収集した男だ

「お前の次の仕事なんだが……実は桐条のシャドウワーカーというグループからある要請が来ていてな」

桐条のシャドウワーカー

確か日本OXASとは目的や戦う対象こそ違うが『異形』と戦う存在だと聞いている

「はぁ、シャドウワーカーの戦っている『シャドウ』と日本OXASの戦っている『隠人』は違う存在だと聞いていますが」

「いや、まぁ、そうなんだが俺達の力でもシャドウとの戦闘は可能だとは聞いている」

「そうですか、じゃあ俺はそのシャドウと戦う手伝いをしたらいいんですね?」

「あー、それがだな…すまん」

いきなり謝る伊佐地

「何かトラブルですか」

「お前にはシャドウ事案危険地区だかなんだか知らんがシャドウが出る可能性のあるとされる地区、八十稲羽へ調査に行ってもらうことになった」

「調査…ってことは丸投げですか?」

シャドウについては謎が多い

シャドウワーカーのメンバーの一部はペルソナというシャドウと似て非なる物を使い戦闘するらしいがその発現方法も個人差があるという

「俺もバカバカしいと思うが上は依頼を受けてしまってな、日本OXASに回されたんだが俺達も人手不足だ、なるべく人員を割きたくはないが行動しないわけにはいかなくてな」

「それじゃあ行くのは俺と同期の2人のどっちかって感じですかね?」

「いや、あの2人は片一方はまだ未熟だしもう一方は少し厄介なことを頼んでいてな、七代…お前1人に頼みたい」

「またですか」
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