8話
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「そうですわね。出来ることなら今時分、人がいない方がよろしいですね」
「それなら、今の時間帯なら、人のいないところを知っていますのでそちらに行きましょう」
そうして歩き始めた鬼一の右後ろについていくような形でセシリアも歩き始める。
目的の場所に到着するまで、両者無言でセシリアは特に気にした風もなないのだが、1人で気まずさを味わっていた鬼一は神経を削るハメになった。
今の時間帯なら1年生生徒の大多数が食堂にいるだろうと考えた鬼一は、IS学園の共用休憩スペースにまでセシリアを連れてきた。共用休憩スペースは1年生教員問わず使えるためかかなり大きく作られており、100人以上は座っても
問題ないように作られている。
が、鬼一の考え通り今の時間帯1年生のほとんどは食堂にいるためか、スペースにはほとんど人はいなかった。そのスペースの1番奥、窓際の席を鬼一は座っていた。
「どうぞ」
鬼一にジュースを渡すセシリア。セシリアにとっては自分から話があるといって鬼一の時間を割いてもらっているのだから、そのお詫びにジュースを渡したのだ。セシリアの片方の手には缶の紅茶が握られている。
それに対して鬼一は一瞬迷うが、せっかく年上の好意なのだからありがたく受け取る。
「ありがとうございます」
カシュ、と音を立てて一口ジュースを飲む。
ジュースを飲みながら鬼一は、自身の正面に座った美少女をおそるおそる見る。
縦ロールのある長い金色の髪。金髪と聞くと鬼一はカラー剤や美容院で染めた人工的な色を思い出すが、それらとは違い滑らかで煌びやかな輝きを放っている。
その美しい金髪と一緒に鬼一の目に入ってくるのが、透き通って吸い込まれそうな碧眼。本人の顔の造形が整っているのとスタイルが良いせいかモデルのようだ、と鬼一はぼんやりと思う。
だが、モデルとは一線を画しているのはその雰囲気。鬼一の言葉では上手く説明できない、柔らかな包み込むような気品がそこにはあった。
一瞬、猫被ってんじゃないかなどと失礼なことを考え、それを否定する。
この雰囲気は一朝一夕で出せるものではないと、そう思った。
「申し訳ありませんでした」
真摯な声でセシリアは鬼一に頭を下げ、謝罪をした。
その突然の行動に慌てながら鬼一は止めようとする。
「ま、待ってください! 突然どうしたんですか?」
思わず立ち上がってまでセシリアの謝罪を止めようとし、その真意を聞き出そうとする。
鬼一の言葉を聞いても、少しの間頭を下げていたセシリアだったがゆっくりと顔を上げた。
「わたくしは貴方のことを、貴方のいた世界を何も知りませんでした」
それは鬼一の予想しない言葉だった。
「無作法と分かっており
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