8話
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ルーティアーズ最大の特徴である全方位攻撃の優位性を理解し解析し、理性的に自分と相手の力の差を踏まえた上で最善の方法を生み出し実行する能力の高さ。
しかも高いレベルで実行するために何度も練習したことが今回の試合で感じた。お世辞にも彼の技術は高くない。それは通常の軌道やイグニッションブーストの拙さ、射撃武装の使い方を見ればそれが理解できる。
全方位攻撃に制限をかける発想を思いついても、制限がかけられている状態であってもその攻撃に対応が出来なければ何も意味はない。彼は回避できないと思ったらブレードで防御し、回避も防御も出来ないなら貴重なパススロットを消費してまで防御弾頭を積み込み、徹底してブルーティアーズの対策を組み上げた。
これは分かりにくいのですが非常に凄いことだ。通常のIS操縦者ならプライドが高い分どうしても自分の技術だけで、自分が信じた武装だけで対応しようとする。だけど彼はフィールドを利用して相手の優位性を減らし、それで回避も出来ないなら本来攻撃武装であるブレードで防ぐ、その2つでも足りないと見るや別のところから使えるものを持ってきた。
私は彼のISである鬼神のカタログスペックにも目を通した。高起動と高火力を実現させたが防御面に難のあるIS。そこには防御弾頭の文字はなかった。だから彼は武装の補充に使われる弾薬などを一部削ってでも搭載したのだろう。
結果、それは正解でわたくしの射撃の無力化に大きな力を発揮した。
そしてブルーティアーズのビット射撃のエネルギー関係や、切り札である弾道型をどうやって知り得たのか? 技術のアキレス腱であるエネルギー関係や奥の手の弾道型は公には公開されていない。
だけど、彼は時間を見極めた上で攻め込み、しかも奥の手である弾道型の対策まで行っていた。
そこでわたくしは気づいてしまった。
俄かには信じ難いことだが、彼は世界に公表されているブルーティアーズの演習動画、そこから答えを導き出したのだと。
だけど、それはあまりにも難しい。
なぜなら、今公開されている動画には『一度たりともエネルギーを切らしてブルーティアーズを回収したシーン』など映っていなかったのだから。
彼もそれはもちろん知っていたはず……。そんな不確定情報から答えを導き出してもかなりのリスクが伴うから。
もしエネルギーが切れなかったら?
もしあのまま射撃に晒されていたら?
もしこちらのエネルギーが切れる前に先に自分のエネルギーが切れてしまったら?
少し考えただけでもこれだけのリスクが出てきます。にも関わらず、あの様子だと少しの躊躇いなんてなかったことが分かる。
つまり、彼はリスク承知で、敗北も覚悟の上でわたくしに挑んできたことになる。
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