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恋姫†袁紹♂伝
第42話
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中止。
 曹操軍が居なければ張遼軍は無抵抗のまま手痛い犠牲をだしていた。

 理非を正す為なら敵をも守る曹操軍に惚れ、武人の資本である身体を敵の為に投げ出した春蘭に惚れ、それを『良くやった』と褒める覇王の器に張遼は惚れた。

 心ならずも二心を抱く事になった張遼は洛陽の復興作業中に決意。
 その日の夜に董卓に頭を下げ、主従の関係を切り曹操の下に向かったのだ。 
 





 

「さて、戦後処理で紆余曲折あったが、ようやく落ち着いて顔合わせできたな。
 改めて名乗ろう、我こそが袁本初。袁家の現当主にして連合の総大将を務めた男である」

 袁紹の名乗りと同時に、弛緩していた空気に緊張が蘇った。
 董卓は恐縮した様子だが、賈駆と華雄の二人は一語一句聞きのがさまいと耳を澄ませる。

「お主達三人の処遇を決める前に、道を提示しなければな」

「……ボク達に選択肢があるの?」

「当然だ」

 賈駆が考えているよりも、袁紹は三人の気持ちを遵守したいと考えている。
 袁紹の考えでは三人は被害者だ。あの善戦を加味して褒め称えることはあっても、無下にする気は一切ない。

「提示できる道は三つだ。一つは我が家臣となる事。お前達程の人材を野に放つのは惜しい。
 是非、我が軍で重宝したい」

「敗戦の将には過分すぎる言葉だな」

「謙遜するな華雄。大陸中の誰もが初日で終わると予想していた戦。
 それを四日も守り向いたのだ、十分賞賛に値するぞ」

 惜しみない褒め言葉だったが華雄は顔を顰め、賈駆も複雑な胸中だ。

 確かに連合から見れば董卓軍は善戦したように見えるかもしれない。
 しかし、董卓軍から見れば違った結論が浮かんでくる。
 自動衝車なるもので門を破壊した曹操軍、曹操の一軍かやってのけた事を一部隊で成し遂げた袁紹軍。この二軍が初日から仕掛けてきていたら結果は――……

 二人は神妙な顔つきだが、ただの過小評価である。
 袁紹と曹操の二軍を抜きにしても連合は強大な力を持っていた。それも黄巾のような雑兵ではない。正規軍を相手に互角の戦いを繰り広げてきたのだ。

 二軍の存在が規格外だっただけで……。

「二つ目だが、ここ南皮の民になることだ」

「民に……。それは一つ目と何が違うのかしら?」

「そのままの意味だ。我に忠を誓うのではなく、一人の民として生きていく。
 お主達の立場は少々特殊だ、野に居ては悪意ある者に利用されかねない。
 故に我が庇護下の元、生を謳歌してもらうのがこの選択肢だ。
 自慢ではないが、ここ南皮の安全性は他地域の追随を許さんぞ?」

「……」

 袁紹の言葉は事実である。南皮の街ほど安全な場所を董卓達は見た事が無い。
 絶え間なく人
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