第42話
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のそえるものにしたい。その交渉の前に緊張を切るわけにはいかない。賈駆は唇を噛み袁紹を睨んだ。
それを受けて袁紹は苦笑する。本心から彼女達の緊張を緩めようとしただけで他意は無い。
半分あの台詞言いたさの発言と流れだったが、それで警戒度を上げる事になるとは思っていなかった。
「話を始める前に会わせたい者がいる。おう、入れ!」
袁紹の合図で謁見の間にある扉が開かれる。何故このタイミングなのかと賈駆は訝しんだが――
入ってきた人物を見て、交渉の為に用意していた言葉が全て吹き飛んだ。
「華雄!?」
「華雄さん!?」
華雄だ。敗れてから消息を絶っていた彼女がそこに立っている。
激闘で気を失っていた彼女は恋により回収。
袁家が誇る医療超人、王大人により治療を施され回復していた。
董卓達はそれを知らなかったが、別に隠していた訳ではない。
回収した華雄を見て王大人は何故か『死亡確認』と発言。袁紹までも彼女が生きていることを知らなかった。
事実を知ったのはつい昨日の事だ。王大人に詰め寄ると彼は、『大変危険な状態故、希望的観測を言葉に出来なかった……』などと口にしたが、五体満足どころか傷一つ無い段階まで回復している華雄を見ると、到底理解出来ない。
最終的には王大人の有無を言わせない大物感で納得させられたのだ。
「うむうむ、感動の再会であるな」
抱き合いながら喜びを表している董卓達を見て、袁紹が涙ぐむ。
涙を拭こうと懐をまさぐるが、どうやら手布を忘れたようだ。
「はい麗覇様」
「グスッ……すまぬ…………」
チーン! 場違いな雑音で董卓達は我に返った。
「そういえば霞は何処に? 見当たらないが」
「霞は……曹操に帰順したわ」
「な!? 月様が居ると言うのにアイツ――ッッ」
「落ち着いて下さい華雄さん、私が許可したんです」
「月様が……?」
張遼が曹操に降ったのには理由があった。
董卓を捕縛した袁紹の呼びかけにより降伏した張遼軍だったが、功を欲しがった連合の一軍が暴走し攻撃を続けた。
それを防ぎ張遼達を救ったのが、他ならぬ曹操軍である。
かの軍が割って入り攻撃を続ける一軍を一喝した。虚仮威しと取った暴走軍は矢を放ち――
曹操軍の盾隊が前に出ると、文字通り身体を盾にして張遼軍に放たれた矢を防いだ。
そして―――
張遼本人を守った春蘭が負傷、左目を失ったのだ
その場に居た全軍が動揺するなか彼女は刺さった矢を目玉ごと引き抜き――喰らった。
『父母からもらったもの、どうして捨てることができようか!!』
春蘭の気迫に暴走した軍は事の重大さを思い出し、攻撃を
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