第42話
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―南皮 謁見の間―
現在、袁紹の屋敷にある謁見の間にはそうそうたる顔ぶれが揃っていた。
主である袁紹は勿論のこと、斗詩、猪々子、星、恋といった武官達。桂花、風、音々音を中心にした文官達。
各軍の副長から小隊長、雑務を任される文官達までもが集結している。
その中に含まれていた董卓と賈駆の両名は、自分達の場違い感に肩身の狭い思いをしていた。
謁見の間が大所帯なのには三つ理由がある。
一つは論功行賞、今回の戦で目覚しい働きをした者達に褒美を与える場だ。
この中で恋が率いる重騎隊が勲功第一功に当たり、彼女とその部隊はそれぞれ爵位の繰上げと土地、金を受け取った。
又、烈火の如く敵軍を蹂躙していく様から“大炎”の名を袁紹から授かり。
恋の部隊は今日この日をもって、“特殊重装騎兵隊・大炎”と名乗る事になった。
二つ目は董卓達の処遇に関してだ。現在彼女達は保護という名目で南皮に静養してもらっていたが、周りの目もあるし、いつまでもただ飯を食わせておくわけにはいかない。
このまま放置し続ければあらぬ噂が蔓延する、ただでさえ袁紹は好色家として有名なのだ。
袁紹自身は否定しているが、自業自得である。
最後の理由は今後の方針について。王朝も落ちぶれ、事実上無法地帯と化した大陸でどのように動くか。その方針の発表が袁紹からあるのだ。
「さて、論功行賞が終わったところで次はお主達の番だ」
その一声で袁紹と董卓達を挟むように座していた人間が左右に割れ、玉座までの道が開いた。
「オープンセサミィ……」
「麗覇様、ここは真面目に」
「開けえーーッ ゴマッッ!」
「そういう意味じゃありません!!」
袁紹と斗詩のやりとりで笑いが起き、先程まで場を支配していた緊張は霧散していた。
「……」
「……」
道の途中で止まっていた董卓と賈駆は唖然としている。
このような場は威厳が満ちていて当たり前だ。事実、先程まで息の詰まるような威を感じていた。
生み出すのはその場で最上の人、つまり袁紹である。
では今の空気はどうか? 威厳による圧など微塵も感じられない。
このような弛緩した空気を作り出す人間が、先程まで感じていた威圧の正体。
そして信じられないことに、常識外れな状態にも関わらず違和感が無く、最上から末端に至るまで自然体だった……。
「震えは止まったようだな」
「!?」
賈駆は息を呑んだ。今の言葉の真意を考えるならば、この空気は自分達の為に作り出した事になる。そして気付いた、自分の肩の力が抜けていることに――……。
「――ッ」
この空気に身を委ねては駄目だ。隣に居る親友の為、自分達の処遇を希望
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