47.ロスタイム・ロスト
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に荒れ果てた荒野だぞオイ……豊かにするために植林しろ植林」
「砂漠に新芽は芽吹かん。どちらにせよココ、お前が命を賭けるのは今日じゃないのは確かかもな」
「………ちぇっ」
ぬくもりも癒しも会話さえも根絶やしにする不毛の大地オーネストの忠告まで来ると、ココも流石に引き下がる。ヴェルトール達は最初から見学に徹するつもりらしく、ココをおいでおいでしていた。どことなく落伍者の集まる負け犬オーラを感じるが、多分気のせいだと思いたい。
「そういえばユグー。闇派閥の間じゃ黒竜ってどんな存在なんだ?ダンジョンの主の直系のしもべな訳?」
「………闇派閥にも種類がある。ダンジョンの主を信望スル派閥などごく少数に過ぎず、後はダンジョンに然程興味ノ無イ犯罪組織の集団だ。俺はそのどちらとも繋ガリがあったが、どちらにも腰を落ち着かせることはなかった」
「ふーん………俺、オリヴァスのことがあったせいで闇派閥のことなんか誤解してたわ」
あいつはなんと自分の肉体に魔石を植え込んだ猛者だったが、考えてみれば闇派閥というのはやくざ者が寄せ集まって形成された反秩序集団であって、ダンジョンと直接結びつく存在とは限らない。ここ数年闇派閥の活動が消極的になっているとかでその実態をよく知らなかった俺としては、初歩的な勘違いに気付いた気分だ。
しかし、あのサバトマンの事を考えると、言い方は悪いが犯罪組織の方がまだ好ましい。
あんな哀れな存在になるくらいなら、まだ犯罪者の方が意味のある存在だ。悪人はまだ『生きている』が、善人でも悪人でも、人間でさえなくなった連中というのは救いようがない。
「しかし………黒竜は、決して服従ヲ良シトセヌとは聞いた。ダンジョンノ言イナリにもならぬ、魔物の本能ノ言イナリにもならぬ。奴はどこまでも孤高で、愚かしく、しかしてその意識こそが奴を獣ではない上位ノ存在としてあらせる。故にダンジョンの主もそれに触れようとはせぬ、と」
「………確かにアレは他の有象無象の魔物とは訳が違う。あれは自分が唯一無二の戦士であることを自覚し、それを貫こうとしているんだろう」
どこか人事のように呟くオーネストを見て、俺はなんとはなしに思う。
「だから、黒竜になら殺されてもいいと思ったのか?」
「………さぁな。別に黒竜じゃなくとも、俺が納得して死ねればそれでいいからな」
「今日は、そうじゃないんだろうな?」
「……………なんだお前、もしかして未来が欲しいってのか?」
オーネストは意外そうな顔をした。
未来が欲しいのか――か。俺も自分がいつか死ぬことは知っているので、それが訪れたら迷いなく受け入れるだろう。それはいい。それは自己満足の世界であって、答えは俺だけの胸の中に存在するからだ。俺は生の今際に残影を探す、あの世行き列車を
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