47.ロスタイム・ロスト
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た。
ともかく、穴を空けた犯人を探って二人は穴を飛び降り続けた。
不思議な事に、穴の周囲には魔物が少ないか、まったくいない場合が多かった。原因は定かではないが、もしかしたら穴を空けた張本人が全て始末して魔石を回収したのかもしれない。そうだとしたらそれなりには儲かっただろう――そう思いながら飛び降り続けたが、流石に十数階層ほど降りると階層の高度そのものが高くなりすぎて移動が難しくなってきたため、途中からはロープを使ったり正規ルートで追ったりと手間がかかり始める。しかもそんな苦心をしているうちにもダンジョンの穴は塞がり始めているため、時間にも追われる羽目に陥った。
そして大穴はとうとう18階層の安全圏に到達したところで消滅。
ここに来て、ひとつ目の手がかりは途切れた。
……かに見えた。
「見たんだよ、昨日!とびっきりの上玉なネエちゃんが氷の螺旋階段を下りてくるのを!!」
「酒の飲み過ぎで頭がパァになってただけだろ。この前水晶に反射してる自分に喧嘩ふっかけて拳の骨が折れたのに全然懲りてねぇな」
「ウソじゃねえって!!マジだって!!昨日までこのフロアの宿にいんのを見たんだって!!」
安酒を煽る冒険者を眺めながら、キャロラインは思わぬ情報に頬をゆるませた。
「まだツキには見放されてないわねぇ〜♪」
「俺も酒を飲みたい。退屈ヲ紛ラワスには酒の刺激が一番だ」
「ン………まぁ今から調査するには時間帯がアレだし、一杯ひっかけて今日は宿で寝ますか!」
その日、一組の男女が店で酒を『樽二本』開けて飲み干したという噂が流布されたらしい。
この二人、アズに負けず劣らずの酒豪なのである。
= =
「では、穴を空けた犯人を捜しに行くぞー!!」
『おー!!』
『応!!』
「……消極的おー」
「依頼者命令」
「何よ二人ともノリ悪いわね」
ここで、捜索に新メンバーが加わる。最近18階層のあちこちから生えた結晶を新たな彫刻として売り出せないか画策していたアルル・ファミリアのヴェルトールとそのしもべたち(ドナとウォノ)である。
ヴェルトールは女好きだが、キャロラインみたいな性的な部分に特化した相手は苦手としている。しかもこのキャロライン、実は獣の耳や尻尾を触るのが三度の飯並みに好きという困った御仁。当然ながらヴェルトールはこの捜索隊の誘いを懇切丁寧かつ大胆不敵に断ろうとした。
ところが。
『楽しそう!!』
『興味深い……』
好奇心が旺盛すぎるドナとウォノが見事にヴェルトールの意志を無視して捜索隊に参加。この二人を単独行動させるわけにはいかない保護者のヴェルトールは、いやいやながら捜索隊に参加させられたのであった。
18階層前後ならレベル2程度で
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