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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
47.ロスタイム・ロスト
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ャロラインは、穴の下に見える第二階層を覗き込んで首を傾げる。なにか、穴の近くに光で反射しているものが見えた。確認するか――そう考えたキャロラインはユグーの肩に飛び乗る。

「第二階層までうまい具合に飛び降りて頂戴!」
「お前は自力デ到達デキるだろう。何故俺に乗る?」
「男は女の尻に敷かれてナンボよ」
「理由になっていないが、依頼者ノ命令と言う事にしておこう」

 たぶん横にアズとオーネストがいたら「やっちゃえバーサーカー!」「俺も『狂闘士(バーサーカー)』なの忘れてないかお前?」と言っていただろう。二人は1階層の穴から2階層の地盤へと飛び降り、例の光を反射する者の正体を確認した。
 半透明な物質だ。それなりに大きく、1M四方はある。触ってみると表面は微かに濡れており、恐ろしく冷たい。これは氷だ、とキャロラインはすぐ気付く。半透明なのは氷が形成される際に空気を多く含んだのが内部で気泡として現れているのだろう。

「何でこんなところにこんなデカい氷が………?」
「魔法だろう。珍しくもない」
「ううん、魔法だってのはいいけど妙なのよね……攻撃魔法で必要になる氷ってのは硬度が必要だけど、この氷は気泡が入っているから硬度が劣る。魔法で出来た氷って普通はもっと透き通っているもんよ」
「デは戦闘用以外での氷魔法だというのか?ナンだそれは、ダンジョンでは使い道がない」
「それもありうるんだけどぉ………この氷、もしかして。ユグー、これひっくり返して」
「自力デ出来るだろう。何故俺に頼む?」
「男はすべからく荷物持ちよ」
「面倒ダカラ次から依頼者命令と言え。ソレで納得してやる」

 呆れた表情で1M四方の氷の塊をひっくり返すユグー。裏返った氷の形状を確認したキャロラインは自分の予想が的中したことを悟り、やっぱり、と呟く。

「斜めに続く規則的な段差………これは氷で出来た階段よ!戦うためじゃなくて速度を優先したから透明ではなかっのね」
「………よく見ればそれ以外にも氷塊ガ転ガッテているな。折れたのではなく、切られている」
「自分の後に続く人間を排除するためか、或いは安全の為か……下の階層にもそれらしいのがある。この氷の作り主は氷の階段で延々と下に降りていったみたい。こりゃ相当な魔法の使い手ね……『酷氷姫(キオネー)』並みじゃないといいけど」

 この街の頂点に迫る数多の冒険者の中でも『最強の氷の使い手』と評されるレベル6の美しい後姿を見てちょっと涎を垂らしそうになりながらも、キャロラインは最悪の予感を予測する。ユグーは嫌な予感どころかレベル6クラスの敵の戦闘の可能性に期待を膨らませて涎を垂らしそうになっている。

 ……実は自分もユグーも似た者同士なんじゃないか、とは思いたくなかったキャロラインは、偶然の一致だと考えることにし
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