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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十七話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その3)
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リオン ヤン・ウェンリー


勝った。要塞の陰に居た第十二艦隊が敵の後方を遮断し、私が敵の側面を突く。これでローエングラム伯を倒せる……。私は貴官に勝ったよ、ヴァレンシュタイン大将。

ローエングラム伯が死ねば彼の姉、グリューネワルト伯爵夫人がどう思うか。

自分が宇宙艦隊司令長官になるために、弟をわずか一個艦隊で同盟領に送り込んだ、そして弟を戦死させた。そう思ったとき彼女は貴官を憎むだろう。皇帝の権力を利用し貴官を排斥しようとするに違いない。

あるいはこちらがそう仕向けてもいい。彼女の心に猜疑心を植えつければいいのだ。やりようは有るだろう。前線に出てこない貴官を葬るためには帝国人の手で貴官を倒す。私が考え付いた唯一の策だ。

貴官が失脚すれば帝国軍はその支柱を失う。そして内乱を防ぐ人材を失うことになる。帝国との和平が結ばれるかどうか分らない。しかし結ばれなくても、帝国が混乱してくれれば十分に同盟が回復する時間が取れるだろう。

だからローエングラム伯、貴方には死んでもらう……。ヴァレンシュタイン大将、貴官には防ぐ事は出来ない。私の勝ちだ。






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