五十話:彼の願望
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うことだ。
「私の夢は生命操作技術の完成……君の願いとは到底相容れない!」
「そうだ。例え契約であろうとお前は僕を止めるしかない。何故ならそれはお前のただ一つの存在理由を奪うことになるからだ」
「ああ! ああ、そうだとも!! 君の望む世界に私という存在は必要ない。全ての命が完成されているからね。誰も死ななければ、死を恐れることもない!! そんな狂った世界だからだ!!」
未だにフェイトには状況は分からないが少しずつ分かってきたことがある。それはあの2人はどちらも碌な願いを抱いていないということだ。そしてどちらの願いも譲れず、叶えられる願いも一つだけ。故に切嗣は自らの願いを確実に叶える為に先手を打ってこうしてスカリエッティを殺しに来たのだ。
「私でもそこまでの狂った発想はできないよ! どこの誰が魂の―――」
「―――もういい、黙ってろ」
銃声が響き噴水のように血がスカリエッティの額から噴出する。目の前で自身の生みの親を撃ち殺されたトーレとセッテが叫び声を上げる。そんな中、スカリエッティはゴキブリ並みのしぶとさで笑みを浮かべ最後の言葉を吐く。
「は……はは……ま……だ……わ…た……し…が……い……」
「安心しろ、お前のクローンなら成長する前に殺してやるさ」
一切の慈悲のない言葉を投げかける切嗣。だが、それでも。スカリエッティは自らの勝利を疑わぬ不気味な笑みを浮かべていたのだった。その状況からは考えられない死に顔に嫌な予感を感じながらも表情に出すことなく念押しの意味で鉛球をもう一度彼の眉間に打ち込み息の根を止めるのだった。
「ドクター!? 貴様よくも…ッ!」
「僕に対して怒りを抱くのかい? なるほど、やはり君達戦闘機人はできそこないだな」
スカリエッティを始末されたことに怒りをあらわにするトーレに切嗣は嘲るように告げる。しかし、油断なくフェイトの挙動に目を光らせているあたり、本心から侮辱しているのかは分からない。
「機械と人間の融合だと? 馬鹿馬鹿しい。機械であるならこいつが死んだところで代わりがあることぐらい分かっているだろう。だが、君は人間的感情を抑えられない」
「当たり前だ! ドクターは―――」
「それだけならまだしも、君は同時に自分もこいつも計画を成し遂げるための駒だという機械的な判断も持ち合わせている。だというのに、どちらも取れない。酷い歪みだ」
人間として生きているわけでもなければ機械としてただ存在しているわけでもない。どちらかに行ったと思えばまた戻ってくる蝙蝠のようなものだ。その姿は人間でありながら機械であろうとした男の在り方に似ているようでさらに酷い。どちらの特性も生かせていないのだ。
機械は感情が無く完璧な故にどのような残酷
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