五十話:彼の願望
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り足元にも届かないね」
「僕達は、僕達で戦うってことですね」
「そういうことだね、エリオ」
巨大な召喚獣に関してはどちらもが手を出せない。二体の決着を見届ける以外に方法が無い。しかし、だからと言って呑気に観戦するわけにもいかない。スバルとエリオは頷き合いディードとオットーに向かい合う。相手もどうやら考えは同じようで静かに緊張を高めていく。
(スバル、あんたには色々と聞きたいところだけど、時間が無いから後にするわ。後、ギンガさんに謝る言葉を考えておきなさい)
(うん……ギン姉には酷いことしたから謝らないと。でも、今は―――)
(ええ―――勝ちにいくわよ)
止まっていた時が本当の意味で動き出す。四人で一人前のフォワード陣が今完全に揃いその真価を発揮する。今度はフォワード陣の切り札が切られ、戦闘は終息へと導かれる。
「魔力散布は十分、後は……最後のカードを切るだけ」
時が止まる。フェイトも、彼女に叩き落とされ無力化されたトーレとセッテも完全に動きを止めていた。ただ、何とも言えぬ表情で立ち尽くすスカリエッティを全員が見つめていた。その姿に変わったところは一つしか見受けられない。顔だけ見れば誰も異変に気付かない。だが、ほんの少し目線を下げてみれば気づくだろう。その心臓に―――ナイフが突き立てられていることに。
「ターゲット……クリア」
肋骨の合間を縫うように突き立てられたナイフが血飛沫と共に抜き放たれる。それをきっかけに支えを失った身体は重力に従い崩れ落ちる。赤く染まった白衣が酷く美しいもののように通路の光に照らされる。スカリエッティは自分を刺した犯人の正体を見ようと最後の力を振り絞り振り向く。そこに居たのは見慣れた顔立ちに銀色の髪を持ち、特徴的な死んだ目をした男。
「衛宮……切嗣…!」
「でしゃばり過ぎたな、スカリエッティ」
背中からその心臓を一突きしたユニゾン状態の切嗣は何も感じていないような無感情な視線を向ける。一方のフェイト達は訳が分からず困惑する。彼らは情報によれば仲間のはずだった。だが状況はどう見ても仲間割れ、それも何故このタイミングで裏切ったのか。そもそも、何故ユニゾン状態なのかもわからなかった。
「…く…はは……くはははははっ!! そうか! そうか! 君はそうも私が信用できないのかね!! 私に手術まで任しておきながら!!」
「願いは僕だけで叶える。僕とお前の願いが違う以上、お前は遠からず障害になるからな」
心臓を刺されたというのに大声で笑い続けるスカリエッティ。それは最後の命を燃やしているからなのか、それとも自身の体をも改造しているからなのかは分からない。ただ一つだけ分かるのはどう見ても死にそうには見えないとい
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