五十話:彼の願望
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した腕で無防備なギンガに触れようとしたところで野生の勘が警鐘を鳴らす。
咄嗟に飛び下がると同時にギンガの姿が幻のように消え去り代わりに巨大な火球が先ほどまで立っていた場所に落ちる。静かに火球の出所をガリューが睨み付けると幻術のベールが剥がれ落ちフリードに乗りギンガを抱えたキャロの姿が現れる。
「ギンガさんの保護完了です!」
「幻術……目障り」
自分達がティアナの幻術にはめられていたことに気づきほんの少し苛立たし気に魔力を放出するルーテシア。その威力は余波だけで辺りのビル群に罅を入れるほどのものだったがキャロは防壁を張りその攻撃をしのぎ切る。それは例え後衛だとしても、近接戦を鍛え上げてきたなのはとヴィータの指導の賜物だろう。
「ルーお嬢様、あれ召喚しちゃいいましょうよ」
「もう確保とか関係ねえ! ぶっ潰しちまおうぜ!!」
「……分かった」
流れが一気に相手側に傾き始めたことに焦りさらなる戦力投入を促すウェンディに腕を破壊された怒りで目的を見失うノーヴェ。そんな二人に対して思うところはあるものの自分の傍に居てくれる者のためだと思い、ある者の召喚を始める。
「あの召喚陣の大きさは……ただの召喚獣じゃない…!」
(キャロ、あんたあれに対抗できるカードはある?)
(はい……あります!)
ルーテシアが召喚しようとしている存在が危険なものだと肌で感じ取るフォワード陣。しかしながら、対抗する手段が無いわけではない。ルーテシアに切り札があったようにキャロにもまた、最強のカードが存在する。
「吾は乞う。強き者、巨大な者、その力をもって万物に滅びを齎す者―――」
「天地貫く業火の咆哮、遥けき大地の永遠の護り手、我が元に来よ―――」
ギンガをフリードに託してから飛び降り、自身も召喚陣を展開するキャロ。その様はルーテシアに負けず劣らず威容に満ち誰一人としてそこに近づいてはならないと本能に訴えてくるようであった。
「白亜の天を統べる蟲の王。言の葉に応え、我が下に来たれ―――白天王!!」
「黒き炎の大地の守護者。竜騎招来、天地轟鳴、来よ―――ヴォルテール!!」
現れたのは見上げることすら諦めるような巨体を持つ者達。硬質な外骨格、それを支える筋肉、半透明の膜状羽を持つ昆虫のようで人体に近い特徴を持つ白天王。対するは黒き鱗に身を包みどこか恐ろしさの中に穏やかさを併せ持つ瞳を持つ火竜ヴォルテール。
どちらも人間が召喚できる存在の中では最上位かつ規格外の存在。方やヴォルテールに至ってはアルザスの信仰を集める神龍とも呼べる存在だ。余りにも巨大な力故にキャロが村から追い出された最たる理由でもある。
「これが……ヴォルテール。それに白天王……」
「この二体に関してはあたし達や他の召喚獣じゃ文字通
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