第四話 何とも微妙だよ逃げ切れなかったよ
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る『准佐の壁』『中佐の壁』を飛び越えて大佐に昇進したばかりか准将閣下の称号を帯びるまでになった者がいたほどに、威光は輝いている。
オスカー公子──新しいお館様やアーヴェルカンプ伯爵、ハックシュタイン伯爵、リリエンクローン子爵、クナップシュタイン男爵、レーリンガー男爵それに家宰様すなわちロイエンタール男爵といった一門のお歴々や父上と同格の、あるいは先刻例に出した准将のような縁者を先祖に持つ帝国騎士に直接間接の人脈を作っておくことは、俺の将来にとって大きな武器となる。
原作で有能さを評価されていたキャラクターと懇意になることができれば、最高だ。
『探せ、探せ、コネを探せ〜♪』
平民向けのソリビジョンドラマの主人公、サイオキシン麻薬組織に探偵だった兄を毒殺され事務所を引き継いだ少年探偵ライヘンバッハ、あるいはその相棒の美少女シェリーさながらに、子供であるのをいいことに立食パーティーの会場を目を皿のようにして、俺は歩き回った。
「アルフレットぼっちゃまー!どちらへおいでですかー!」
俺がいなくなったのに気付いたアルノルトがランズベルク文庫に所蔵された喜劇大全集の『物知らずの煙出し執事』あるいは『赤髪のできそこない家令』のようにうろたえて探し回っている姿が庭木の向こうにちらちらと見えたが、誰とも話さないうちに戻ってやるつもりはなかった。
偉そうな大人たちに原作のラインハルトさながらに礼儀を売り、トリューニヒトさながらに笑顔を売り子供相手にささやかな友情を結びながら、一門の方々のいる主庭園をゆっくりと回る。あまり知らない顔の大人なら一門の方々の周りをうろうろすれば問いただされもしただろうが、俺はまだ子供の上に伯爵邸には父上についてたぴたび参上しているからマールバッハ家の警備兵にも給仕その他の係にも知った顔が多い。さらに言えば今日父上はすみっこのほうではあるが、主庭園の招待客。おかげで俺はどこへ行くのも誰と話すのもほとんどフリーパスだった。
この有利な条件を活かさない手はない!
「お初にお目にかかります、アーヴェルカンプ伯爵閣下。アルフレット・フォン・グリルパルツァーと申します。以後お見知りおきを」
「なかなか利発だな、セバスティアン。我が家の子にもこれほどの才気を持つ者はおらぬ」
「はい、旦那様」
「僕はアルフレット。君は?」
「ルーカスだ。ルーカス・フォン・レーリンガー」
「君とはいい友達になれそうだな。今度、いとこのマルカードとも会ってやってくれないか」
どことなくOVAに出てきたクナップシュタイン艦隊の副司令官みたいな銀髪の伯爵──卑劣な背信行為をしたら殺されそうな顔だ──と従者に執事長や従者のみなさんに教わった通りのお作法でお辞儀をし、数分後には金髪に八の字髭のレーリンガー男爵の後ろでちょっぴり所在なさ
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