第2章:埋もれし過去の産物
第48話「違和感とお墓参り」
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のためにメッセージを遺していたんだ。....何もかも、分かっていた上で、自分は助からないだろうと、確信して。」
「え....。」
誰だって、予想しないだろう。事実、僕も予想していなかった。
あれは、紛うこと無きイレギュラーだった。
なのに、緋雪はそうなると知り、さらに自身は死んでしまい、僕が悲しみに暮れるだろうと言う所まで、全て予想し、そのためのメッセージを遺していた。
「“ちょっとずつでいいから、前を向いて歩き続けて。”...か。」
「...優輝さん?」
悲しんでも、悔やんでもいい。だけど、立ち止まるのだけはダメ。
...緋雪は、全てを分かっていた。でも、その道から逃げなかった。
...僕も、見習わなければな。
「......本当、僕にはもったいないくらい、良く出来た妹だよ...。」
...もちろん、僕にとっても、ホント良く出来た幼馴染だった...。
初恋の、彼女に対するそんな想いを、そっと胸に仕舞う。
...僕は、志導優輝であって、もうムートではないからね。
「...しんみりさせちゃったね。...もう、帰ろうか。」
「...あ、はい...。」
想いに耽る僕を見て、少し呆けていたのか、二人の返事が少し曖昧だった。
「...大丈夫だって。さぁ、帰ろう。」
心配させないようにそう言って、僕らは家へとそれぞれ帰った。
―――僕は生きる。緋雪の分も。緋雪のために。
―――僕は生きる。悲しみと殺した罪を背負って。
―――これからも後悔するだろう。失敗するだろう。
―――...だけど、それでも前へ歩き続ける。
―――それが、僕に出来る緋雪への手向けとなるから。
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