暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第2章:埋もれし過去の産物
第48話「違和感とお墓参り」
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       =out side=





「ユーリさん、こちらの資材運んでてもらえます?」

「あ、はーい!」

  “死蝕”という物に蝕まれ、滅亡の一途を辿って()()世界...エルトリア。
  その世界の、安全な場所にて、少女が小さな資材を運んでいた。

「やぁ、おはよう...いや、おそようだね。ユーリ。」

「あ、博士。...大丈夫なんですか?出歩いて。」

  そんな少女に挨拶をしたのは、ボサボサの黒髪で、白衣を着た男性。
  ...ギアーズを作りだしたグランツ・フローリアンその人だった。

「まぁ、何とかね。体もだいぶ楽になったし、ここら一帯は“生命”を取り返したから空気も綺麗だからね。」

「そうですね。皆さん、とても頑張っていますし。」

  ユーリが思い浮かべるのは、新たに自身の騎士となった三人。
  彼女達のおかげで、エルトリアを蝕む“死蝕”への対抗が十全となったのだ。
  おかげで、今エルトリアで生きている人々の安全を確保するぐらいはできた。

「...その中に、ユーリも含まれているさ。」

「そ、そうですか?...私、生身だとこれを運ぶのだけでも疲れるのですけど...。」

  謙遜するユーリに博士はそう言うが、ユーリはそれでも遠慮する。
  ...事実、生身のユーリはか弱く、魔法もU-Dだった頃よりも全然使えない。
  ただ、それでも並の魔導師数人分は下らないのだが。

「....というか、一国の姫様を働かせるのはなんというか...。」

「べ、別に構いませんよ!それに、もう滅んでいますし...。」

  自分の住んでいた国を、自分が滅ぼした。
  その事に少し暗くなるユーリ。

「ああっ、ご、ごめん...。」

「い、いえ....大丈夫です。では、私はこれを...。」

「...ああ、引き留めて悪かったね。」

  そう言って別れて、ユーリは資材を運び終える。

「(....ここに来て、早数ヶ月...。“死蝕”も順調に取り払われてますし、博士の容態も良くなってきています。...きっと、彼のおかげですね...。)」

  少し休憩に入りつつ、ユーリは物思いに耽る。
  思い浮かべるのは、自身の騎士たちと共に助けに来た優輝。

「(...導王...人を導く事で知られていましたが....彼の本質はもっと別...。)」

  ....優輝本人も気づいていない事を、ユーリは感じていた。
  なにせ、それこそが博士の容態が良くなる要因なのだから。

「(...“可能性を掴み取る”力...。そして、それは他者から他者にも影響する。)」

  例え、一パーセントでもその結果を掴み取る。
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