第5巻
敗者への屈辱×学園祭後の結果
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少女を壁に叩き付け、それでもまだ怒りを収めるには足りないオータムは腰からナイフを抜く。
「その顔、切り刻んでやる・・・・!」
「止めなさい、オータム。うるさいわよ」
バスルームから出て来たのは美しい容貌をした女性で、薄い金色の髪が明かりに照らされてキラキラと透明の光を放っていた。
「スコール・・・・!」
「怒ってばかりいると老けるわよ。落ち着きなさい、オータム」
スコールと呼ばれた女性はバスローブのままソファへと腰を下ろすが、そんなスコールをオータムは悔しそうに見つめていた。まるで恋人か?と思われる。
「お前は・・・・知っていたのか?こうなると言う事を」
「ええ」
「だったらどうして私に言わない!私は・・・・私は、お前の!」
「分かってるわ、オータム。ちゃんと分かってる。貴女は私の大切な恋人」
「わ、分かっているなら・・・・いい」
先程までの怒りはスコールの笑みによって消されて、オータムは頬を赤くして俯いていたがどうやらこの二人の関係は恋人で正解だった。初恋の相手を前にした少女のようにあどけなく、そんな可愛らしい様子にスコールは嬉しくなったのかまた微笑んだ。
「おいでなさい、オータム。髪を洗ってあげる。今日は疲れたでしょう?」
「あ、ああ・・・・」
そんなやり取りを少女は退屈そうに眺めていたが、馴れ合いや情も否定するような少女は冷めた瞳のまま部屋を出て行く。
「エム、ISを整備に回して頂戴ね。『サイレント・ゼフィルス』はまだ奪って間もない機体だから、再度調整が必要よ」
「分かった」
エムと呼ばれた少女は短く返事してドアを閉じるが、実はこの少女も記憶共有者の一人であり敵の中に味方が潜んでいると言う事を知っているのは俺だけである。
本来なら復讐が始められるそうだが、記憶共有者として表では亡国機業(ファントム・タスク)の一員であり、素顔も織斑千冬と同じとされている。その名は織斑マドカで、体には監視用ナノマシンが注入されていて命令違反を犯せば数秒で脳中枢を焼き切られる。
「(織斑少将、何時か貴方に会う事を楽しみにしている。私の兄さん)」
何時か出会う時、監視用ナノマシンが発動しないよう無効化。それが発動したとしても自己修復機能として、新たに注入される事で解放される。そして何時か出迎えるのが俺達の使命であり、それが何時になるのかはこの俺でも分からない。
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