暁 〜小説投稿サイト〜
剣士さんとドラクエ[
96話 因
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 寝起きの悪いエルトを叩き起し、ヤンガスを揺り起こす。エルトは叩き起しても眠そうだった。でも、疲労は私だって溜まっているとはいえど、今は緊急事態だ。イマージェンシーだ。それどころじゃない。

 寝てる場合じゃないんだよ!……気を抜いたら私、ぶっ倒れそうだけど!なんでククールはしゃっきりしてるんだろう……というかあれ気力で起きてるよね?なんかそんなにテンション上がる事あったの?!

 エルト!ほら!起きて!私だって城を見たショックでどうにかなりそうで、ドルマゲスに溶かされたりして疲れたから早く寝たいけど、起きてよ!

「……んん、誰……?」
「私だよ!トウカだよ!」
「……おやすみ……」

 あ、こいつっ!目を開けたのに寝やがった!とはいえ早朝だから大声で叫ぶわけにもいかない。エルトは起きないし……あ、なんだか私、睡眠不足でなんだかふらふらして……。

 その時、ヒュッと風を切る微かな音を聞いて私の全身の毛が逆立った。狙いは、急所、頚動脈(けいどうみゃく)。戦い慣れした結果、私の頭は一瞬でそれを弾き出した。

 反射的に首筋に攻撃が迫るのを感じてバク宙する。流石に街の中で今装備してるナイフ抜いたりするほど非常識でもないし。でも、危険なら蹴り殺せるように。

 ちょっと……そんな物騒な事した犯人はククールかい!なんだよその手刀!もう少し眠かったら蹴り飛ばしてたんだけど!壁に刺さるところだったんだよ、ククール!

「……すまん」
「何のつもりだったの?」
「……ゼシカのことはもちろん心配だが、頼むから寝て欲しかった」
「あー……気持ちはありがたいけどうっかり殺っちゃったら笑えないからやめた方がいいと思う。寝てても殺っちゃう」

 ククールの綺麗な顔がすごく引き攣った。

「やっちゃ……やるって殺すほうだよな……?」
「何、首と胴体泣き別れしたかった?私は嫌だよそんな事するの」
「俺だって嫌だぜ……」

 あ、ククールも疲労困憊だよね……ぐったりして眠ったエルトの腹に頭突き食らわせそうな勢いで伸びちゃった。その勢いで頭突きしちゃえばよかったのに。ヤンガスがそれに怒って引き剥がしてるけど、寝ぼすけなエルトも疲れきったククールも悪くない、よね。

 ていうか私もふらっふらだし寝たいのに、ヤンガスがとっても元気で羨ましい。え、秘訣?ザオリクって疲労回復効果あったりするの?だからゼシカもどっかいっちゃったの?……違う?

 ……あぁ、なんだ。やっぱり蘇るとしても死は恐ろしくて、眠っていられないんだね。軽々しいこと言ってごめん。

 ……ゼシカの事、心配だけど。駄目だ、目が霞んで足が覚束無い。気づいたククールが私をエルトの部屋から引っ張りだした時には目を開けるのだって無理なくらい眠かった。

 そうし
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ