7話
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―――鬼一くんの嫌いな物、ですか?
―――そうです
―――うーん、同じチームですけどあの子ってあまり好き嫌いを表に出すことをないんですよね。だから正直わからないと言えば分からないんですけど……。でも。
―――でも?
―――嫌いって言っていいかは微妙ですけど、ある行為で本気でブチ切れたのは見たことがあります。
―――あの鬼一選手がですか?
―――そうですそうです。どこだっけな。確か海外ツアーを回っているときだったと思うんですけど、鬼一くんが試合で勝ってブーイングをくらったことがあるんですよ。
―――なるほど。
―――あの時確か最後の自国選手を倒してその国の優勝の目を無くしたんですよ。だから鬼一くんにブーイングが飛んだんですけども。でも、そのあとに全力を尽くした自国選手にまでブーイングや度の超えた罵倒を浴びせたんですよギャラリーが。
―――自国選手に対してですか?
―――そうです。それを見て鬼一くんがブチギレてステージの椅子を蹴り倒したことがあったんです。あとで聞いてみたら安全圏にいる連中が知ったような顔で自国選手をブーイングしてることにムカついたらしいんですけど。終わっちゃったことに文句つけるんじゃなくて、全力を尽くして自国に貢献した選手なんだから讃えてやれよ、それが出来るのはギャラリーだけなんだから。って。
―――鬼一選手は自分に対するブーイングとか罵倒は気にしないんですね。
―――まぁ、あいつも散々浴びせられてますからね。でも身体張った人間を安全な部分から馬鹿にするのは耐え難いみたいです。一々対戦相手の事情を気にしてたらやっていられないんですけど、鬼一くんはそういうことを嫌っているみたいですね。
―――世界最年少プロゲーマーの素顔に迫る Vol.2 アークキャッツ てきど インタビュー一部抜粋
戦いの終わりを告げるブザーが鳴り響き、右拳を振り上げていた鬼一は静かに自身の拳を下ろす。
この時、鬼一は限界の極みであった。
酷使し続けた身体は震えが止まらず全身から玉のような汗が鬼一を濡らしており、呼吸は荒れきって肩で何度も深呼吸する。間隔を空けたとは言え付け焼刃で負担の大きい瞬時加速を3回も使ったのだ、全身に断続的に熱を持った痛みが走る。酸素が足りていないのか脳内はうまく思考が出来ず、視界は霞がかっていた。聴覚はキーン、と耳鳴りがひどい。
まさしく疲労困憊、それだけ自分を出し切ってもぎ取った薄氷の勝利であった。
鬼一はぼやけた視界でシールドエネルギーを確認する。その残量僅か、43。弾数性の武装は全て玉切れでパージして、唯一の近接武装の夜叉は何度もガードに使ったからか刀身が欠けており見るに耐えないほどだった。最後は素
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