7話
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極的に言ってしまえば、人の目線や評価、そして自分を惑わす外部的要因などを排除して、自分自身に向き合えるかどうかだ。
プロゲーマーになる前から、そして今に至るまで自分自身と向き合い、無意識ではあったが誰よりも『勝負に勝ちたい、負けたくない』という純粋な思いが鬼一を自分の世界に没頭させた。
時として1つの世界の頂点に立たせる大きな原動力になるほど、鬼一の集中力は自身にとって最強の武器になっていた。
―――今はまだまだ弱いけど、鍛えたらどれだけ強くなるのか想像できないわね……。
自身の生まれ持った才能など関係ない、良質な努力とどれだけ自分に向き合えるか、どこまで自分を変化させることが出来るか。
才能に頼らない、自分の戦い方やスタイルに囚われず、短いスパンで土俵の変わるゲームの世界で自分を変化、成長させ続ける鬼一だったからこそ、最終的な強さを全く楯無は想像も出来なかった。
――――――――――――
「2つ目の質問なんだけど、あの無力化武装を最初の1回だけ使ったのはどうしてなの?」
「ん、あんまり深い理由はないんですけど、アレを見て迷いを抱いて欲しかったんですよね。『射撃を無効化された。また無力化される?』って。そうすれば土壇場で攻撃の手が緩む可能性が出てくるので最後の詰めのリスクが減るかな、って思ったんですけど、オルコットさんの様子だとマグレで切り捨てられたみたいですね。結局ほぼ無意味でした」
まさか、あそこまで綺麗に割り切られるとは流石に思わなかった。一発芸と分かっていてもどこかでブレーキがかかると考えたが、一瞬、この女無力化が怖くないのか……!? って思ってしまった。まぁ、完全にアレは一発こっきりのネタだったのだが。いくら何でも鬼手を完璧に使いこなすことは今の僕では出来ない。
「オルコットさんと僕の位置、そしてライフルの弾速を計算に入れて完璧なタイミングで無力化したのに、歯牙にもかけられなくて素直に驚きましたよ」
そこで時計を見る。そろそろ第2試合が始まる時間帯だ。
すっ、と立ち上がるたっちゃん先輩を見て僕も立ち上がる。
「一夏くんとセシリアちゃんの試合がそろそろ始まるわね」
「はい」
2人揃ってモニターの前まで歩こうとしたのだが、手を滑らしてドリンクを地面に落としてしまった。
コロコロと僕と先輩の前を転がるドリンク。
僕より僅かに前で歩いていたたっちゃん先輩がドリンクを拾って、僕に振り向いてドリンクを差し出す。
それを受け取るために1歩踏み出して手を右手を差し出す僕。
「あ、ありがと……っ!?」
「きゃっ」
が、左足をベンチにひっかけてしまった僕はそのまま前方にたっちゃん先輩に倒れこんでしまった。
「
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