肆:攻略戦
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られる。その言葉を背に、セリシールは減速を始めた自らの足を再度動かし、加速を試みる。筋力は大太刀が持てるぎりぎりを調整しているため、ほかの面子に比べて敏捷は高い。しかし、減速したのがあだになったのかキリトやアスナとは距離が離れてしまう。さらに、セリシールの前にリザードマンが数匹ポップした。モンスターはセリシールをターゲットとし剣を振りかぶり、ソードスキルを発動させる。
「…………」
だがセリシールはそれに対し、減速をするのでもなく抜刀をするのでもなくただ単純にスピードを上げていた。ほとんど地に足がついておらず滑べるように跳んでいる。このままいけば、激突し、装甲の薄いセリシールはあっという間にポリゴン片となってしまうだろう。
が、セリシールは大きく迂回するでも飛び越えるでもなく、ただ単純にその間を走り抜けた。
振り降ろされた剣をわずかに反発する磁石のようにさっと避け次へ行く、これを繰り返し1秒とかからず数匹のリザードマンを後ろへ置き去りにして見せた。
「キリト、アスナ!」
二人に遅れること数秒、すでにボス部屋前の扉は開いており中の光景を確認することができた。床一面、格子状に炎が吹きあげており、すでに舞台は整ったといわんばかりだ。その中央で屹立する巨体が、二人の目撃した74層のボスだろう。
「何をしてる!早く転移結晶を!」
「……転移!…………ダメだ、アイテムが効かない!!」
「何ですって……!?」
「…………」
アスナが驚愕する理由、それは稀に迷宮で見かける《結晶無効化空間》がボス部屋に適用されていることだ。これではとっさの脱出を行うことができない。しかし、今までこの空間がボス部屋に適用されていることはなかった。
まさに地獄絵図だった。床に転がったプレイヤーは、無残にも斬馬刀と思われる巨大なものを突き立てられその体をポリゴンへと変える。援護しようにもボス自体のHPゲージ3割も減っておらずいまだ健在。こうしている間にも、また一人斬馬刀に薙ぎ払われ、HPを大きく削られ吹き飛ぶ。
「……撤退を……さっきのあの人は……」
セリシールが中佐と名乗ったコーバッツの姿を確認する。どうやらまだ健在らしい、ボスの奥にHPゲージを少し減らしながらも立っていた。しかし、その姿勢から軍のプレイヤーを撤退させている、という風には感じられない。それどころかこの状況では考えられない怒号が飛び出す。
「軍に撤退はあり得ない!!我らに、撤退の二文字は存在しない!戦え、戦うんだ!!」
「……馬鹿野郎……ッ!」
「……なに、を……してるの……っ」
結晶無効化空間で人数が少ない、さらに今さっきセリシールは一人が死んだ光景を目撃した。これだけでもあってはならないのにコーバッツは状況を確認し、冷静に判断ができ
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