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メン・タンク・マッチ:MTM
初動編
MTM:初動編  第3話「戦備(そなえ)」
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戦車だ。
「あ、合ったー」
思わず天桐は大声を出し、駈け寄る。
「・・・あれ?」
よく見ると10センチ程度の小さなおもちゃの戦車だった。
「おもちゃか。・・・ハァーー」
一瞬で現れた希望の光、いや戦車が偽物だと知ったせいで、もう元気が完全に出なくなった。
そんな天桐の側を一台のバイクが通り過ぎた。
すると、そのバイクはブレーキをかけ、突然Uターンをして戻って来て天桐の後ろで停まった。
「おい、士良」
突然、呼ばれた天桐は振り返るとバイクに乗った加埜が居た。
「こんな所で何してんだ?」
「・・・加埜」
「うん?どうした?」
天桐の様子が少し変なのに気付いた加埜は、天桐を後部座席に載せ、走り始めた。

5分後、着いたのは加埜の喫茶店だった。
時刻は午後5時を過ぎていた。
加埜のおごりで苺のショートケーキとミルクティーを出してくれた。
「一体どうしたってんだよ。ゴールデンウィークにそんなしけた面してさ」
「あぁ、・・・ちょっとな」
天桐は元気がない状態でただそう答える。
そんな天桐を見た加埜は
「悩みがあるなら言ってみろ」
気になって仕方なく聞き出す。
それに対し、天桐は加埜に全部話そうか少し迷った。
話せば楽になるだろうと思ったが、これは、自分で解決しないといけない。それに相談してもどうにもならないだろうとも思ったのだ。
「いいから話せ。俺とお前の仲だろ」
「あぁ、・・・そうだな」
加埜は、天桐の心を読んだのかそう言った。それを言われた天桐も言うことにした。


全部説明した。錦さんとの出会い。男の戦車道、メン・タンク・マッチ。最初から全てを話した。ケーキを食べながら。
話し終えた天桐の顔は先程より顔色が良くなって少し明るくなった。
「なるほどな。男の戦車試合か」
「あぁ」
悩みを聞いた加埜はコーラを片手に天桐の相談に乗る。
「それで参加するために、メンバーや戦車を用意する必要があると」
「そうなんだ」
天桐は、ショートケーキを食べ終わるとミルクティーを飲んだ。
「けど、中々メンバーを集めれないし、戦車も手に入れられなくてな」
「うーん」
天桐の抱える問題が大変なことなのを知った加埜は腕組みをして考えた。

「メンバーか。それは、まぁ、なんとかなりそうかもしれないな。学校の奴らを探せば」
「あぁ、それよりも戦車をどうするかだ」
「戦車か」
二人は無言になり、ただ悩むしかなかった。
そんな静かな時間が3分程経過した時だ。
「あ、そうだ」
加埜が口を開いた。
「戦車ならツテがあるぜ」
「・・・え?・・・マジ?」
「あぁ、マジだ」
天桐は目を大きく開きながら言う。
「俺の知り合いの先輩が自動車整備の工場で働いているんだ。そこに以前、バイクのメンテで行った際、
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